効果的な採用パンフレットの作り方とは?記載すべき内容やポイントを解説
採用パンフレットは、企業が採用活動を行ううえで強力な武器となりうるツールです。これをうまく活用できるかどうかが採用活動の結果を左右するといっても過言ではないほどです。しかし、魅力的なパンフレットを作りたいと思っていても、実際にどうすればよいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。そこで、この記事では採用パンフレットの概要や作成ポイントなどについて詳しく解説していきます。
目次
1.採用パンフレットとは
そもそも採用パンフレットとは何かというと「求職者に自社の情報を伝えて入社を促す目的で配布するパンフレット」と定義することができます。リクルートパンフレットや入社案内と呼ばれることもあり、多くの場合は合同説明会や採用イベントなどの会場で配られます。また、大学や専門学校などの資料室で配られます。どうせ具体的な話は説明会で行うのだからとパンフレットを軽視する企業も少なくありませんが、それは正しい判断だとは言えません。なぜなら、まず興味を持ってもらわなければ合同説明会などにおいて、自社の話を積極的に聞いてもらえる可能性が低くなってしまうからです。
ちなみに、人というのは「認知」→「興味」→「欲求」→「確信」というプロセスを経て初めて行動を起こすといわれています。そして、採用パンフレットには、まず自社を認知してもらい、次の興味へとつなげるという、採用活動において極めて重要な役割を担っているのです。仮に、パンフレットがいい加減な作りだったとすれば、認知から興味につなげることができず、採用活動が失敗に終わる可能性もそれだけ高くなってしまいます。そう考えると、採用パンフレットの重要性が理解できるはずです。
2.採用パンフレットに記載すべき内容
採用パンフレットのページ数は限られています。そのため、自社をアピールするために重要な情報を優先して盛り込む必要があります。まず、絶対に外せないのが企業紹介です。これがなくてはパンフレットを作成する意味がありません。問題はどのような構成にするかですが、一般的には「社長のあいさつや企業理念の説明」「事業やサービスの特徴」「社員紹介」などといったところでしょう。ただ、これらの内容を普通に盛り込むだけでは事務的で退屈なものになりがちです。
そこで、いかにして他社とは異なる独自性を出すかが重要になってきます。たとえば、対話形式やゲーム形式で記事を構成し、楽しく読めるように工夫をするのもひとつの手です。また、企業紹介を熟読すると採用時に特典を出すようにして読み手のモチベーションを高めるのもよいでしょう。さらに、採用キャッチコピーやコンセプト紹介なども採用パンフレットには欠かせない要素です。特に、キャッチコピーは求職者の印象に残りやすいため、自社のモットーなどをベースにして、簡潔(20文字以内程度)でインパクトのある言葉を考える必要があります。一方、コンセプトは、入社にあたって共感してほしい自社の価値観や、入社すれば個人がどんなふうに成長できるのかといったことを伝えるようにしましょう。
ほかにも、自社に対して親近感をもってもらうためには、会社がどのように発展してきたかのヒストリーを紹介することも大切です。その際、単にこれまでの出来事を並べるだけでは味気がないので、自社にとってのターニングポイントをピックアップして紹介するなどの工夫が必要になってきます。そのうえで、今後はどうなっていく予定なのかをストーリー仕立てで表現すると読んでいるほうも興味がわいてくるはずです。
3.採用パンフレットを作成するメリット
採用パンフレットを作成することで、企業は多くのメリットを得ることができます。その事実をしっかりと理解すれば、パンフレットを軽視するようなこともなくなるはずです。そこで、この段落では、パンフレットの作成に力を入れるべき根拠として、パンフレット作成に伴う3つのメリットについて紹介していきます。
3-1.自社の認知度を高められる
合同説明会などに参加する求職者は、こちらの存在自体を知らない場合も少なくありません。そういう人たちに配布することで、パンフレットは自社について知ってもらい、認知度を高めるという役割を果たします。まず知ってもらわなければ何も始まらないので、それは極めて重要な役割だと言えます。そのうえで、自社についての理解を促進させ、共感を醸成させるのも採用パンフレットの重要な役割です。
ちなみに、会社を理解してもらう手段として、会社案内などのパンフレットを平時から用意している企業もあります。しかし、その多くはクライアントに配布することを前提に作られているため、求職者には理解しにくい内容になっている場合も少なくありません。そのため、採用パンフレットを作成する際には既存の会社案内などとの差別化を図り、業界に詳しくない人にも伝わるように自社の説明をする工夫が大切になってきます。
特に、社会経験のない新卒者の場合、入社してから何をするのか全くイメージがわかない可能性があります。そんなときに、誰にでも業務内容がわかりやすく、職場の雰囲気も伝わりやすいパンフレットが用意されていればどうでしょうか。入社後の自分がイメージしやすくなり、その会社に対して共感や親しみがわく可能性が高くなるはずです。優れたパンフレットには単に自社を知ってもらうだけでなく、そうしたメリットもあるのです。
3-2.能動的にアピールできる
インターネットの普及により、企業はホームページを運営するのが当たり前になってきました。自社専用のホームページを所有していない企業は存在しないといっても過言ではないほどです。各企業のコーポレートサイトでは、企業理念や事業内容、採用情報などが紹介されており、それらの情報は世界中誰でも気軽に閲覧することができます。つまり、そこにパンフレットと同じ内容を掲載しておけば、採用パンフレットなどは不要だとも言えるわけです。
しかし、それは相手が自社に興味を持ち、求職者自らが該当ページにアクセスすることを前提としています。もし、求職者が自社に興味がない、あるいは存在すら知らなかったとすれば、せっかく用意したページも求職者の目に触れることはないでしょう。その点、採用パンフレットは合同イベントなどで配布するものであるため、自社を全く認知していなかった求職者にも存在を知ってもらえるよい機会となります。しかも、プレゼンによって自社の魅力をアピールしたあとで配布すると、相乗効果によってさらに高い訴求力を発揮できるはずです。
3-3.リマインド効果が期待できる
自社のホームページに掲載した採用ページの場合、たとえ一度閲覧したとしても再訪することがなければ、多くの人はそのまま忘れてしまいます。その点、情報が形として残る採用パンフレットなら、ホームページに比べて目に触れる機会は飛躍的に多くなります。目に触れるということは、自然とそれを手に取り、繰り返し読んでもらえる可能性が高いということを意味するわけです。そして、繰り返し読むことで予習と復習をするのと同じ効果が得られ、会社の情報が記憶として定着しやすくなります。一度記憶が定着すると、ちょっとしたきっかけでその情報を思い出し、会社のことについて考えるようになります。いわゆるリマインド効果です。
また、ホームページの場合は情報を得るために画面をスクロールさせたり、クリックして複数のページをチェックしたりする必要があります。それに対して、採用パンフレットであればわずか1~2ページの範囲で知りたい情報を一目で把握することが可能です。そのため、読んでほしい順番にストーリー仕立てで情報を配置しておけば記憶の定着効果はより高まるというわけです。さらに、机の上に置かれた採用パンフレットはそれを受け取った人以外の目に触れる可能性もあります。そうなると、多くの人が自社を認知し、共通の話題とする機会も増えてくるはずです。それにより、より大きなリマインド効果が期待できることになります。
4.採用パンフレットの作成方法
採用パンフレットの作り方は主に2種類あります。1つは作成を外部に依頼する方法で、もう1つは自社で作成する方法です。まず、外部への依頼ですが、この場合はデザイナーが在籍しているデザイン会社などの制作会社を利用することになります。その際、印刷や加工の方法などは多彩な選択肢から選ぶことができますし、どんな内容にするかといったことも相談に乗ってもらえます。それに、キャッチコピーやパンフレット独自の表現手段で読み手に影響を与えようと思えば、プロの技術が欠かせません。したがって、自社の魅力を強く訴求したい場合は外部に依頼するのが賢明だと言えます。ちなみに、採用パンフレットの制作は採用コンサルティング会社が活動の一環として手掛けている場合もあるため、そちらへの依頼を検討してみるのもひとつの手です。
一方で、自社で作成する場合は、オンラインプリントサービスを利用するのがおすすめです。FacebookやGoogle+ですぐにログインできる手軽さが魅力で、無料の素材やサービスもあるのでコストを安く抑えられるというメリットもあります。ただ、制作会社に依頼した場合と比べるとクオリティはどうしても落ちてしまいます。どちらかというと、採用パンフレット作りのノウハウがある企業や、お試しでパンフレットを作ってみたいという場合などに適した方法だと言えるでしょう。
5.採用パンフレット作成の流れ
どのようなものを作るかによっても異なってきますが、採用パンフレットの作成には3~4カ月程度かかるというのが一般的な目安です。そのため、必要となる時期から逆算して、少なくとも3カ月前から準備を始める必要があります。最初にやるべきことは、採用戦略とターゲット像の策定です。そのうえで、パンフレット作成の目的を明確にしていきます。目的がはっきりとすれば、その目的が実現するように、パンフレットに含めるコンテンツを決定します。ここまでで下準備は終了です。
次に、パンフレット作成を製作会社などに依頼する場合は、当然依頼先を選定しなければなりません。その際には、採用関連の知識を持っている業者を選ぶのがコツです。こうして選別した業者と二人三脚でパンフレットを完成させていくことになります。制作会社とは入念に打ち合わせをし、採用戦略やパンフレット作成の目的などといった情報をしっかりと共有しておくようにしましょう。最後に、デザイン制作、校正、印刷といった工程を経て完成となります。
6.効果的な採用パンフレット作成のポイント
実際に採用パンフレットを作成する際には、全体の流れのほかに個々に注意すべき事柄が存在します。そこで、ここからは、効果的な採用パンフレットを作るため、特に重要だと言えるポイントを4つ紹介していきます。
6-1.一貫性をもたせる
採用パンフレットは、求職者に対して自社の情報を提供するツールであると同時に、他社との差別化を図り、強調したい部分を明確にしていくブランディングツールでもあります。そのため、企業理念とビジョンを常に意識しながら作成していかなければなりません。その際、内容がぶれていると信頼性が揺らいでしまうため、常に一貫性を心掛けることが大切です。そのうえで、自社のブランドとしての価値を求職者に印象付けるようにしましょう。そうすれば、ブランディングによって得た会社への共感が、採用だけではなくあらゆる場面で役に立つ長期的な資産となるはずです。
6-2.言葉にこだわる
業界に居続けると、パンフレットを作成する際にもついつい業界特有の言葉を使ってしまいがちです。しかし、それでは求職者に正確な意味が伝わらないおそれがあります。そうならないようにするためには、言葉のセレクトに十分注意し、そのうえで、簡潔かつ明確な表現を心がけることが大切です。また、自社の求めているターゲット像の行動傾向などを分析し、興味を持ってもらえるような内容を取捨選択することも重要になってきます。あるいは、パンフレットを通して求職者と信頼関係が築けるように、社長や社員からのメッセージという形で情報を伝えるのも効果的です。
6-3.ビジュアルで訴えかける
採用パンフレットをより効果的なものにするためには、内容の良さに加えて見やすさにもこだわる必要があります。そのためには、文字だけではなく、適度に写真を取り入れて会社の雰囲気が伝わるように工夫することも重要になってきます。あるいは、表紙のデザインを丸形や自社商品の形状などにしてインパクトを与えてみるのもひとつの手です。そうした遊び心は、自社の前衛的な姿勢をアピールし、親しみやすさを演出することにもつながります。
6-4.安心感を与える
求職者に向けてのパンフレットである以上、仕事についての話が中心になるのは当然ですが、そればかりだと相手に緊張を強いてしまうことにもなりかねません。そこで、会社のレクリエーションや社員の休日の様子なども伝えることで、緩急をつけて安心感を与えるようにする工夫も大切になってきます。同時に、自社の福利厚生やワークライフバランスに関する情報なども盛り込むようにしましょう。もし、データを提示するのであれば、グラフなどで見やすくし、社内アンケートなどを活用して客観性のある情報だということを強調するのが効果的です。
現代では、給与や仕事内容などと同様に、ワークライフバランスも職場を選択するポイントとして重視されつつあります。したがって、その点においても、他社との差別化を念頭に置いた情報提供を行っていく必要があるというわけです。
採用パンフレットを上手に活用しよう
採用パンフレットは単に求職者にアピールするというだけでなく、企業のブランディングとしても使用可能なツールです。そのため、採用活動では積極的に活用すべきアイテムだと言えます。パンフレットを軽視し、インターネット上に採用ページを開設するだけですませる企業も存在しますが、それだけでは十分とは言えません。リマインド効果が期待できる採用パンフレットを活用して、より多くの求職者を集めていきましょう。