【船井総研】中小企業における新卒採用戦略:人材育成と業績向上への道筋
株式会社船井総合研究所(船井総研)ヒューマンキャピタル支援部です。こちらは中小企業の経営者・幹部・人事責任者様・担当者様向けの記事です。近年、新卒採用市場は大きな変化を見せており、企業は従来の採用方法を見直す必要性に迫られています。現状と課題を踏まえ、2025年以降の採用市場を予測します。
その上で中小企業が優秀な人材を獲得し育成するための効果的な戦略をご紹介しています。人材は企業の成長を支える重要な要素であり、戦略的な採用活動は企業の未来を左右すると言っても過言ではありません。この機会にぜひご覧ください。
目次
1. 新卒採用市場の現状と課題
まず、新卒採用市場における現状と課題について詳しく見ていきましょう。
初任給の継続的な上昇
厚生労働省の「令和6年3月 新規学校卒業者の求人初任給調査結果」によると、2024年4月入社者の初任給を引き上げた企業の割合が過去最高を記録しました。コロナ禍(2021年~2020年)を除き、近年は継続的な賃上げが続いており、今後もこの傾向は続くと見込まれます。これは、企業が優秀な人材を獲得するために、より魅力的な待遇を提示する必要性に迫られていることを示しています。
採用活動の早期化・長期化
新卒採用活動は年々早期化しており、多くの企業が経団連のルールよりも前に採用活動を開始しています。一方で、学生の承諾時期は変わらないため、採用活動は長期化する傾向にあります。これは、企業にとって時間的・コスト的な負担が大きくなるという課題を生み出しています。
2. 2025年 新卒採用市場の予測
2025年以降の新卒採用市場は、以下の様な傾向が予測されます。
更なる早期化・長期化
採用活動の早期化・長期化は、今後もさらに進むと予想されます。
学生はより多くの情報収集を行い、企業を慎重に見極めるようになるでしょう。
企業は、長期化する採用活動に対応するための体制を構築する必要があり、採用活動にかかる時間とコストの増加に対応できる戦略が求められます。
学生のニーズの多様化
学生の価値観やキャリアプランは多様化しており、企業は画一的な採用活動では優秀な人材を獲得することが難しくなります。学生一人ひとりの個性や能力を理解し、それぞれのニーズに合わせた採用活動を行うことが重要になります。
3. 2025年 実施いただきたいこと
2025年以降の新卒採用市場において、中小企業が成功を収めるためには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。
1. 早期化への対応
競合に先駆けて優秀な人材を獲得するために、早期からの採用活動開始が必須です。
2. 長期化への対応
学生のニーズに合わせて選考フローを柔軟に変更できるように準備しておきましょう。
3. 投資(金額・人員)の見直し
採用目標達成に必要な投資額や人員配置を見直し、効果的な採用活動を実現しましょう。
4. 具体的な取組み
具体的な取り組みとしては、以下の様な施策が考えられます。
1.早期化への対応
2025年4月、つまり27卒の採用活動開始と同時に、採用活動をスタートさせましょう。特定の新卒スカウト媒体の活用など、効率的な母集団形成方法を検討しましょう。
2.長期化への対応
学生のニーズに合わせて、選考フローを細分化・柔軟化させましょう。例えば、早期に内定を希望する学生向けの選考フローと、じっくりと企業研究をしたい学生向けの選考フローを用意することが大切です。また企業理念に共感する学生を獲得するための理念共感型インターンシップなどを導入しましょう。
3.投資の見直し
内定承諾目標数から逆算して、必要なエントリー数を分析することや、採用活動の各段階における費用対効果を検証し、予算配分を最適化させることが大切です。また、採用活動の効率化を図り、人員不足を解消するためのツールやシステムを導入することも効果的です。
5. 新卒採用活性化の成功事例
ここでは、船井総研の取引先企業における成功事例を3社紹介します。
1. A社:ブース装飾と社長プレゼンで差別化
住宅不動産事業を展開する従業員約150名、売上高約50億円のA社は、2020年から船井総研の採用コンサルティングを導入しました。A社は、事業拡大のため積極的な新卒採用を行っており、23卒・24卒ともに安定した採用実績を誇ります。A社の成功要因は、以下の2点です。
1. 合同説明会での差別化
ブース装飾に力を入れ、社長自らがプレゼンターとして登壇することで、他の企業との差別化を図っています。
2. 最終選考での社長によるグリップ
最終選考では社長が自社の未来を語り、学生を惹きつけています。
結果として、内定承諾率は73%を誇っています。
2. B社:独自のインターンシップで学生を惹きつける
愛知県で自動車関連小売業を営む従業員約130名、売上高約30億円のB社は、2020年から新卒採用を開始しました。B社は、自動車整備士の業務を実際に体験できる独自のインターンシップや、社長登壇型の説明会などを実施することで、学生の惹きつけに成功しています。
また、選考の合間や内々定出し後にも、多くの社員と面談する機会を設けることで、大手企業との差別化を図っています。結果として、B社は厳しい採用環境の中で、高い内定率を維持しています。
3. C社:採用サイトと若手社員の活用
愛知県で産業廃棄物事業を展開する従業員約70名、売上高約30億円のC社は、平均年齢が50歳を超える企業でしたが、企業存続のために2023卒から新卒採用を開始しました。
C社は、「産業廃棄物」という学生にとってイメージが難しい業種であることを認識し、採用サイトやSNSを通じて企業イメージの向上に努めました。C社の成功要因は、以下の2点です。
1. イメージ戦略
きれいなオフィスや若手社員の活躍、SDGsへの貢献などをアピールすることで、若い世代にも魅力的な職場であることを伝えました。
2. 若手社員の積極的な活用
採用イベントには若手社員を積極的に参加させ、学生との距離を縮めることで、親近感を持ってもらえるように工夫しています。
6. 船井総研がお手伝いできること
船井総研は、中小企業の**CHRO(最高人事責任者)**の代行/落とし込みを行い、新卒採用をはじめとした人材関連の施策を成功に導くための伴走型サポートを提供しています。
具体的には、以下の様なサービスを提供しています。
採用: 数値計画作成、採用調査の実施、採用コンセプトの作成、集客施策のご提案、各種資料の作成、求人媒体の執筆、採用チームへのノウハウ落とし込み、インターンシップの企画、選考フローの明確化、面接項目の作成など
育成: 内定者研修の実施、新入社員研修の実施、階層別研修の実施、管理職研修の実施、営業研修の実施、作業マニュアルの作成、メンター面談、経営方針会の企画など
評価: キャリアステップ構築、賃金制度見直し、等級/号俸制度作成、修正、考課者研修の実施、役職基準の明確化、経営方針会の企画など
船井総研は、長年の経験と実績に基づいたノウハウを駆使し、貴社の新卒採用を成功に導きます。
7. 結論・まとめ
新卒採用は、企業の将来を左右する重要な経営課題です。2025年以降、新卒採用市場はますます厳しくなると予想されますが、適切な戦略と準備を行うことで、中小企業でも優秀な人材を獲得し、育成することは可能です。本コラム記事でご紹介した内容を参考に、自社の課題や強みを分析し、最適な採用戦略を策定することをおすすめします。