コラム

重要性が増している採用マーケティングとは?導入するための基礎知識を紹介

物を売る、何らかのサービスを提供するなど、ビジネスにおいてはマーケティングが欠かせません。しかし、社会環境が変化したことでビジネスの現場だけではなく、採用にもマーケティングの手法が取り入れられ、しかも主流になりつつあります。そこで、この記事では採用マーケティングの概要やメリットに加え、重要性が増している背景や採用マーケティングを取り入れるのに必要な姿勢などについて詳しく紹介します。

1.採用マーケティングとは

“そもそもマーケティングとは、企業が商品の販売やサービスの提供など、ビジネスを展開する際に消費者のニーズを探るために行うものです。また、市場調査だけにとどまらず、広告宣伝や結果の検証まで、市場の発展を促すための総合的な活動を含みます。採用マーケティングは、このビジネスにおける消費者向けのマーケティングの考え方やプロセスを、企業が求める人材を獲得するための採用の場に当てはめた取り組みです。

採用市場にマーケティングを取り入れると、まず自社が必要とする人材について把握することができます。そして、ターゲットとする人材が自社に魅力を感じてくれるように職場の環境を整え、あらゆる手段を通じて採用市場で情報を発信しながらアピールすることも可能です。従来は、求人を出して応募してきた求職者のみを査定して、採用するかどうか考えるのが当たり前のやり方でした。しかし、現場は常に人材不足に悩まされるようになり、これまでのやり方では人材不足を補えないようになってきています。そのため、アメリカの企業などを中心として、デジタルマーケティングの技術を応用して効率よく採用することを追求した、採用マーケティングの手法が台頭してきたのです。”

2.採用マーケティングの重要性が増している背景

従来の採用方法が通用しなくなり、採用マーケティングの重要性が増してきた背景には採用市場の変化があります。そこで、この段落では採用市場の変化について、2つの側面から見ていきます。

2-1.求職者の価値観の多様化

“採用マーケティングの重要性が増している背景のひとつは「求職者の価値観の多様化」です。かつて大手企業は求職者にとって圧倒的な人気がありました。終身雇用制が当たり前だった時代には、大手企業に就職できれば安定した将来が約束されていたと言ってもいいでしょう。しかし、現代では大手企業であっても決して将来が安泰とは言えない現状です。

また、転職者が増え、環境を変えながらキャリアアップすることも珍しくなくなっています。がむしゃらに働くのではなく、ワークライフバランスを重視した働き方を求める人も増えました。求職者のモチベーションや働くことに対する志向が多様化した結果、従来の方法では採用市場で優秀な人材を確保できないようになっているのです。

求職者は、企業が社会的にどんな意義のあることを行っているのかという事業内容だけではなく、その企業で働いてどんなスキルが身につけられるのかということも考えはじめています。また、一緒に働くのがどのような人たちなのかということも、企業を選ぶ判断の基準になってきたのです。求職者の価値観が多様化した結果、企業側の採用活動もマーケティングの手法を取り入れたものに変化しています。”

2-2.採用競争の激化

“採用マーケティングの重要性が増している背景のもうひとつのポイントは「採用競争の激化」です。少子高齢化が進んでいる状況では、労働人口そのものが減少しています。それに加えてIT社会の変化は目まぐるしく、ビジネス環境にも大きな影響を及ぼしています。変化の速い現代のビジネス環境に対し、柔軟に対応できる優秀な人材の需要は当然高まるため、採用競争が激化するのです。

求人広告を出して集まってくる求職者を面接する方法や、転職エージェントに頼って求職者を紹介してもらう方法が従来のやり方でした。しかし、優秀な人材の確保が難しくなったことで、新しい人材確保の方法も注目されるようになってきています。競争が激しい採用市場では、すでに転職を考えている顕在層へのアプローチだけでは不十分です。

そこで、まだ就職や転職を考えていない潜在層に対しても働きかける必要が出できました。具体的な例としては、リファラル採用があります。リファラル採用は、友人・知人や、中途採用者の元同僚など、知り合いの推薦を通して優秀な人材にオファーをかける方法です。単なる縁故採用とは違い、社員が知っている優秀な人材を得られる可能性があるため、多くの企業で取り入れる動きが活発化しています。”

3.採用マーケティングを行うメリット

採用マーケティングを導入すれば、優秀な人材が確保できるようになるのはもちろん、いくつか付随的なメリットも得られます。そこで、ここからは採用マーケティングの導入に伴って得られる2つのメリットについてそれぞれ見ていきましょう。

3-1.求める人材を長期的に確保できるようになる

“採用マーケティングを導入すると、まずは「求める人材を長期的に確保できる」という点が大きなメリットです。従来の採用活動では、集まってくる求職者を企業が選ぶというスタンスでした。一方で、採用マーケティングでは企業の魅力を発信し、求職者を集める取り組みを行います。継続的に企業の魅力を発信していれば、外部に企業のファンを一定数、継続的に作っておくことができます。

発信する情報が広まれば、企業が持つ魅力を潜在層にもまず知ってもらうことが可能です。事業内容だけではなく、働く場所としての魅力も発信することができれば、認知度は強化されます。そうなれば、転職を考えている顕在層の興味も引き、やがては転職先の候補になりやすくなります。アピールが上手くいけば、他社とのあいだで実際に転職先を比較・検討している状態の人たちに対しても優位に立つことができるでしょう。長期的に考えても、潜在層の関心を引きつけておくことで、採用活動を行いやすい環境を整えておくことができます。

採用マーケティングでは、将来採用候補となる優秀な人材を蓄積しておく「タレントプール」という概念も理解しておくことが必要です。タレントプールとは、自社の事業とマッチする能力や経験を持つ優秀な人材に対して継続的に働きかける仕組みや、蓄積されたデータベースのことを指します。自社にマッチする人材と継続的につながり続けるタレントプールを活用すれば、自社はもちろん求職者側にとっても望ましい条件やタイミングで雇用契約を結ぶことにつなげられます。”

3-2.人材獲得にかかるコストが抑えられる

“採用マーケティングは「人材獲得にかかるコストが抑えられる」という点もメリットです。従来のように求人広告を出したり、転職エージェントで自社に適した人材を紹介してもらったりなど、中間業者を通して採用しようとするとどうしてもコストが高くつきます。一方、採用マーケティングなら企業自身が人材を探し、直接アプローチできるダイレクトリクルーティングが可能です。情報発信もホームページやSNSなど、企業の所有するオウンドメディアを用いることが多く、求人広告に比べてコストを抑えられます。

ただし、金銭的なコストが削減できるぶん、情報を発信するための手間や人的コストがかかる場合もあります。とはいえ、情報発信することで自社のブランディングも同時に行うことが可能です。魅力をアピールできる財産が増え、雇用主としての企業価値が高まれば、結果として長期的な効果につながります。また、従来の採用方法に比べ、あらかじめ企業に共感したうえで入社してくる人が多いため、入社後の定着率が高い傾向であるのもメリットだと言えるでしょう。”

4.採用マーケティングにおけるファネルについて

“マーケティング業界で使われる用語「ファネル」は、採用マーケティングでも全体像を把握するうえで役に立ちます。ファネルは直訳すると漏斗のことを指し、マーケティングでは漏斗のように逆三角形の図式によって消費者の行動を表す図としてモデル化したものです。消費者が商品を購入するまでのプロセスで「認知→興味・関心→比較・検討→購入・申込」の順に進むに連れて実際に行動を取る人数が少なくなるため、逆三角形の漏斗で表すのが適していると考えられています。

ファネルの図式を採用マーケティングに当てはめてみると、求職者がたどるのは「認知→興味→応募→選考・内定→入社」というプロセスです。この流れを把握し、企業は各段階で取るべきアクションを考えておく必要があります。たとえば「認知」の段階では、まだ転職を考えていないような潜在層がターゲットになるため、就職先を探していなくてもリサーチで引っかかるように、SNSなどを活用して情報発信を行うことが大切です。”

5.採用マーケティングを行う企業に必要な姿勢

“採用マーケティングを取り入れようとするならば、すでに就職・転職を考えている顕在層だけではなく、潜在層もターゲットに含めて採用活動を展開していく姿勢が大切です。また、従来の採用方法に比べてコストを減らせる可能性が高い方法であるとはいえ、何も対策を立てずに取り入れても効果を最大限には発揮できません。応募経路ごとの採用コストを可視化して、コストのかけ方を考え直すことでコスト削減につなげることもできます。採用後のパフォーマンスをデータ化することで、中長期的に活躍している人材について詳しくわかり、採用する際のターゲット設定に活用することも可能です。

商品を販売するときは、消費者に商品のよさをアピールします。同じように、採用マーケティングではターゲットとなる潜在層や顕在層に自社の魅力をアピールすることも必要です。また、それ以前に自社がアピールするのにふさわしい魅力的な環境を整えていなければなりません。自社で働く社員が魅力的に見えるようにするにはどうすればいいのかを考え、組織の在り方を考える必要もあるでしょう。情報発信の方法も常に時代に即しているかどうかを検討し、必要に応じて継続的に改善を加えていく姿勢も重要です。”

6.採用マーケティングに役立つフレームワーク

採用マーケティングを取り入れて成功に導くためには、マーケティングにおけるフレームワークを効果的に活用することが不可欠です。そこで、この段落では採用マーケティングに役立つ3つのフレームワークについて詳しく紹介します。

6-1.ペルソナ

マーケティングにおいて、企業が商品やサービスを提供したいと考える理想的な人物像のことをペルソナと呼びます。ターゲットというと「積極的な人」や「真面目に仕事に取り組める人」など、同じ対象でもある程度幅を持たせた表現です。一方、ペルソナの場合は、実際に存在しそうな1人のキャラクターとして、具体的な人物像を描きます。ビジネスでは綿密な人物像を描くことで、商品の開発やサービスの品質向上に役立てることができます。採用マーケティングにおけるペルソナとは、採用したい理想の人物像です。年齢や職業、仕事に対する考え方なども含め、実在しそうな1人の人物像をイメージすることで具体的な思考や行動の傾向を分析し、適切なアプローチ方法を見極められるようになります。

6-2.3C分析

3C分析の3Cは「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」という3つの頭文字を取ったものです。採用マーケティングにおいては、Customerが採用したいと考える求職者、Competitorは求職者が自社のほかに興味を持ちそうなライバル会社、Companyは自社が当てはまります。

3C分析は、もともと顧客や競合他社を分析しながら自社の強みと弱みを把握するというフレームワークです。採用マーケティングでは、まず自社が必要とする求職者がどのような人物なのかを明確にすることが大切になります。実際の採用活動では、ライバル会社と求職者を奪い合うことが予想されるため、求職者を逃さないために他社の分析をすることも大事です。そして、自社の弱みを把握し、他社にはないような自社の強みを見出すことも必要になります。

6-3.SWOT分析

SWOTの4つの頭文字が表すのは「Strength(自社の強み)」「Weakness(自社の弱み)」「Opportunity(採用市場の機会)」「Threat(採用市場の脅威)」です。採用の現場では、この4つを念頭に置いてそれぞれの項目について洗い出しを行い、自社の現状を正確に把握することにつなげられます。現状を見極めることができれば、採用戦略を練る際にも生かすことが可能です。

たとえば「Opportunity」の面でSNSの普及でつながる人が増えたことがわかれば、SNSを使ったアピール方法に力を入れることができます。また「Threat」で採用市場が縮小していることが把握できれば、あらためて有効な解決方法を探ることに力を入れることができるでしょう。現状を洗い出していくことで、採用戦略を練る手段を探ることができるのです。

現代の企業には採用マーケティングが必要不可欠
労働人口の減少や価値観の多様化などにより、現代では従来の方法で自社に優秀な人材を呼び込むことが困難になってきました。そのような状況を受けて、企業では採用マーケティングの導入が急務となっています。採用の現場でも現代の社会状況に合わせ、今回紹介したフレームワークなどを活用しながら、求める人材に積極的にアプローチしていきましょう。

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