【船井総研】中小企業の人材育成・定着における2025年の今後・ポイント・展望とは

【船井総研】中小企業の人材育成・定着における2025年の今後・ポイント・展望とは

株式会社船井総合研究所(船井総研)ヒューマンキャピタル支援部です。こちらは中小企業の経営者・幹部・人事担当者様向けの記事です。従業員の定着率向上は、頭を悩ませる問題の一つではないでしょうか。本コラム記事では、人材の「育成」と「定着」に焦点を当てて分かりやすく解説しています。

特に離職要因や人的資本経営、Z世代への対応など、最新のトレンドと具体的な施策を交えながら解説していきます。企業の持続的な成長を実現するために、従業員が最大限に能力を発揮できる環境づくりを目指しましょう。この機会にぜひご覧ください。

1. 【人財育成・定着】主な離職要因

厚生労働省の「令和5年雇用動向調査結果の概況」によると、男女ともに離職理由のトップは「その他の個人的な理由」となっています。
しかし、2位以下には「職場の人間関係」や「労働条件」といった、企業側で改善できる可能性のある要因が挙げられています。
特に注目すべきは、「能力、個性、資格を活かせなかった」と回答した人が男女ともに前年比で増加している点です。 これは、従業員が自身の成長を実感できるような仕事や役割を与えられていない可能性を示唆しており、企業は人材育成のあり方を見直す必要性があります。

2. 人的資本経営の考え方

従来の「人材=資源」という考え方から、従業員を「資本」と捉え、育成と定着に投資することで企業価値を高める「人的資本経営」が注目されています。
採用活動に注力するだけでなく、従業員の定着と育成に積極的に投資することで、企業はより良い人材を獲得しやすくなります。
定着率の高い企業は、従業員の経験や知識が蓄積され、組織全体の能力向上に繋がります。

3. 離職率改善に向けて必要な人材育成のポイント

離職率を改善するためには、従業員の「衛生要因」と「動機付け要因」の両面からアプローチする必要があります。

「衛生要因」とは、職場環境、人間関係、福利厚生など、不満を取り除く要素です。 これらの要素が不足すると従業員の不満が高まり、離職に繋がりやすくなります。

一方、「動機付け要因」は、仕事へのやりがい、成長機会、評価や報酬など、従業員の満足度を高める要素です。 これらの要素が満たされると、従業員は仕事に意欲的に取り組み、定着率向上に繋がります。

離職率を改善するためには、従業員が成長を実感できるような人材育成プログラムを構築することが重要です。

例えば、明確な目標設定、定期的なフィードバック、スキルアップのための研修などを実施することで、従業員のモチベーションを高め、定着を促進することができます。

4. Z世代受け入れのための人材育成

近年、労働市場に参入するZ世代は、従来の世代とは異なる価値観や働き方を求める傾向があります。
そのため、企業はZ世代の特性を理解し、彼らが安心して働けるような環境づくりが求められます。
Z世代は、Purpose(目的意識)、Growth(成長)、Feedback(フィードバック)デジタルネイティブであり、ITツールを活用したコミュニケーションや情報共有に慣れています。 企業は、社内システムやコミュニケーションツールを最新のものにアップデートすることで、Z世代にとって働きやすい環境を整えることができます。

5. Z世代社員の教育

Z世代社員には、企業理念やビジョンを共有し、組織へのエンゲージメントを高めるための教育が重要です。具体的には、経営者による講話や、活躍している先輩社員との交流を通して、企業文化や価値観を理解させることが有効です。
また、Z世代は自己成長意欲が高いため、スキルアップのための研修や、キャリアパスを明確に示すことで、モチベーションを高めることができます。

6. 船井総研が提供できるサービス事例

船井総研では、中小企業の人材育成・定着を支援する様々なサービスを提供しています。
例えば、「人材育成スキルマップ作り」では、階層別のスキルマップ作成や研修メニュー策定、研修テキスト作成などをサポートします。
また、「Z世代受け入れ研修」では、管理職向けにZ世代の特性やマネジメント方法を、Z世代社員向けにはビジネスマナーや社会人基礎力を身につける研修を実施しています。
これらのサービスを活用することで、企業は人材育成・定着に関する課題解決を図り、業績向上に繋げることができます。

7. 人材育成における目標設定の重要性

人材育成においては、目標設定が非常に重要です。
目標が明確であれば、従業員は自身の成長方向を理解し、日々の業務に意欲的に取り組むことができます。
目標設定には、SMARTの原則が有効です。

1. Specific(具体的):
目標は具体的で、誰が見ても理解できる内容である必要があります。
2. Measurable(測定可能):
目標達成度を測れるように、数値化できる指標を設定する必要があります。
3. Achievable(達成可能):
従業員の能力や経験を考慮し、努力すれば達成可能な目標を設定する必要があります。
4. Relevant(関連性):
部署や個人の目標は、企業全体の目標と整合性が取れている必要があります。
5. Time-bound(期限):
目標達成期限を設定することで、従業員のモチベーションを維持することができます。

8. 従業員エンゲージメントを高めるための取り組み

従業員エンゲージメントとは、「従業員が自らの仕事、職場、会社に対して、愛着、熱意、誇りを持って積極的に取り組む状態」のことです。
エンゲージメントの高い従業員は、生産性や創造性が高く、離職率も低い傾向があります。
従業員エンゲージメントを高めるためには、以下の取り組みが重要です。

1.従業員の意見を尊重し、積極的にコミュニケーションをとる
2.従業員の成長を支援し、能力開発の機会を提供する
3.公正な評価制度を導入し、従業員の努力を正当に評価する
4.働きがいのある職場環境を整備し、ワークライフバランスを促進する
5.企業理念やビジョンを共有し、従業員一人ひとりが会社に貢献している実感を持てるようにする

9. 従業員定着率向上のための施策

従業員定着率向上のためには、従業員が会社で働き続けたいと思えるような魅力的な職場環境を作る必要があります。
具体的な施策としては、以下のようなものがあります。

1. 働きやすい労働環境の整備:
労働時間管理の徹底、休暇取得の促進、柔軟な働き方の導入など、従業員がワークライフバランスを保ちながら働ける環境を整えることが重要です。

2. 報酬・福利厚生制度の見直し:
従業員のモチベーションを高めるためには、公正で納得感のある報酬制度を導入する必要があります。また、従業員の健康や生活をサポートする福利厚生制度も充実させることで、働きやすい環境を提供することができます。

3. キャリアパス設計の支援:
従業員が自身のキャリアプランを描き、成長を実感できるような環境を提供することが重要です。そのためには、定期的な面談を通してキャリア目標を共有し、必要なスキル習得を支援する必要があります。

4. 社内コミュニケーションの活性化:
部署や役職を超えたコミュニケーションを促進することで、従業員同士の連携を強化し、一体感を醸成することができます。また、経営層からのメッセージ発信や社内イベント開催なども、エンゲージメント向上に有効です。

5. 人材育成制度の充実:
従業員のスキルアップや能力開発を支援することは、定着率向上に大きく貢献します。研修制度や資格取得支援制度などを充実させることで、従業員の成長意欲に応える必要があります。

10. 適切な評価制度の構築

従業員がモチベーション高く仕事に取り組むためには、公正で透明性の高い評価制度が不可欠です。
評価基準があいまいであったり、評価結果が従業員にフィードバックされなかったりすると、従業員の不満や不信感を招き、離職に繋がる可能性があります。
適切な評価制度を構築するためには、以下の点に留意する必要があります。

1.評価基準を明確化し、従業員に周知徹底する
2.評価プロセスを透明化し、従業員が納得できる評価を行う
3.評価結果をフィードバックし、今後の改善点や成長に向けたアドバイスを提供する

11. 効果的なフィードバックの実施

従業員の成長を促進するためには、定期的なフィードバックが重要です。
フィードバックは、従業員の行動や成果に対して具体的な評価を行い、今後の改善点や伸ばすべき点を伝えることで、より良いパフォーマンスを引き出すためのプロセスです。
効果的なフィードバックを行うためには、以下の点に留意する必要があります。

1.具体的な行動や成果に基づいてフィードバックを行う
2.ポジティブな側面と改善点の両方を伝える
3.従業員の意見に耳を傾け、双方向のコミュニケーションを図る
4.フィードバック後も、従業員の成長を継続的にサポートする

12. メンバーマネジメントの重要性

管理職は、部下の育成・指導を通して、チーム全体の目標達成に貢献する役割を担います。
効果的なメンバーマネジメントを行うためには、部下一人ひとりの個性や能力を理解し、適切な指導やサポートを行うことが重要です。
また、チーム全体の目標を共有し、部下を巻き込みながら目標達成に向けて取り組むことで、チームワークを高めることができます。

13. 働きがいのある職場環境づくり

従業員が安心して長く働き続けられるよう、働きがいのある職場環境づくりが重要です。
物理的な環境だけでなく、心理的な安全性や働きやすさなども考慮する必要があります。
例えば、柔軟な働き方を導入したり、ハラスメント防止対策を徹底したりすることで、従業員が安心して働ける環境を整えることができます。

14. 労働生産性の向上

人材育成や定着率向上は、労働生産性の向上にも繋がります。
従業員がスキルアップし、高いモチベーションで仕事に取り組むことで、より質の高い成果を生み出すことができます。
また、定着率が高まれば、従業員の経験や知識が組織に蓄積され、業務効率化やノウハウの継承にも繋がります。

15. 社外とのネットワーク構築

従業員が社外の人材と交流する機会を設けることも、人材育成の観点から重要です。
業界団体への参加や、外部セミナーへの参加などを促すことで、従業員は新たな知識やスキルを習得することができます。
また、社外の人材との交流を通して、視野を広げ、自社の課題や可能性について考えるきっかけを得ることも期待できます。

16. 結論・まとめ

人材は企業にとって最も重要な資産です。従業員の育成と定着に積極的に投資することで、企業は持続的な成長を実現することができます。離職要因を分析し、従業員が働き続けたいと思えるような魅力的な職場環境を構築することが重要です。本記事で紹介した施策を参考に、自社にとって最適な人材戦略を検討してみて下さい。

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