SNSを使った採用『ソーシャルリクルーティング』とは?
SNSを使った採用『ソーシャルリクルーティング』とは?
目次
はじめに
今回のコラムテーマは「SNSを使った採用ソーシャルリクルーティング」についてです。
世代を問わずSNS利用者が増えた今、企業広報のみならず、「採用」活動でもSNSが大きなインパクトを残すようになりました。
例えば、運用コスト0円でアルバイト10名採用を実現させた企業や、
新卒向けインターンシップ集客を、運用コスト0円で30名越えを達成した企業など、
採用難であるこの時代にも成果を出している企業は沢山あります。
しかし、あらゆる企業がSNS採用に取り組んでいますが、
「運用方法や成果を出すためのコツは良く分からない…」という方が多いのではないでしょうか。
そこで本コラムでは、ソーシャルリクルーティングで成功した企業の事例を交えながら、
これからの採用戦略の練り方や、運用方法についてご紹介いたします。
SNS採用(ソーシャルリクルーティング)とは?
ソーシャルリクルーティングとは、「SNS媒体」を活用した採用活動のことを指します。
企業が、人材紹介などの仲介を介さずに、求職者と「直接」接触する「ダイレクトリクルーティング」と呼ばれる採用手法の一つです。
ダイレクトリクルーティングを実行するための手段に「SNS」を使う、と考えていただくと良いでしょう。
使用媒体は、Instagram・Twitter・Youtube・TikTok・LINEなど、
皆様が日頃からよく名前を耳にするであろう媒体がメインとなります。
なぜ、今SNS採用に取り組むべきなのか
そもそも、なぜSNSを採用に使用した方が良いのか?
その背景は、日本人のSNSを含むインターネット利用率を見ると分かります。
総務省(2021)の調査によると、
いわゆる働き手となる20代~40代のインターネット利用時間の平均は以下の結果となりました。
・20代平日:4時間15分 / 20代休日:4時間53分
・30代平日:3時間8分 / 30代休日:3時間11分
・40代平日:2時間40分 / 40代休日:2時間34分
この結果からわかる通り、一日のうちの多くの時間をSNS利用時間にあてていることが分かります。
また、インターネット媒体の利用項目別の内訳を見ても、
『ソーシャルメディア(SNS)を見る』時間が高いことが分かります。
いかにSNSが日常の一部となっているかが分かるのではないでしょうか。
SNSは単なる娯楽の媒体ではなく、日常に溶け込むコミュニケーションツールとしても
活用されているといえるでしょう。
そのため、ソーシャルリクルーティングとしてSNSを採用活動に利用することは、
①20~40代の求職者にピンポイントでアプローチがしやすい
➁採用までのコミュニケーションがスピーディーにとれる
というメリットがあり、今取り組むべきとされているのです。
SNS採用で期待できる効果|従来の採用との違いは?
定着施策のキーワードは「よく知っている」「横のつながり」です。この二つを満たすために、どうするのが効果的か?他の会社はどのようにやっているのか?上手くいっている理由は何か?を紹介・解説していこうと思います。
従来のWebを活用した採用手法との違いは、大きく以下2点と言えます。
①採用前に『マッチング』が出来る
➁無料で利用開始でき、ずっと無課金戦略を取ることができる
①採用前に『マッチング』が出来る
「入社したはいいものの、すぐに辞めていく」
「こちらから内定は出したものの、辞退されてしまった」
こんな失敗を繰り返している経営者の方も多いのではないでしょうか?
この課題を解消するには、採用までの『4つの理解』を抑えることが重要です。
①会社理解・・・会社の理念や事業の方向性
➁仕事理解・・・実際に任せたい仕事の内容
➂文化理解・・・会社のカルチャーや風土
④環境理解・・・福利厚生や給与などの条件面
この4つの理解は、
求職者が企業を見極める際に見るポイントと言われています。
昨今の有効求人倍率の推移から見ても、
中小企業の採用におけるポジションはまだまだ厳しい状況にあり、
競合は5~6社と言われています。
そんな、人ひとりを採用することさえも難しい時代においては、
「私(求職者)はこの会社で何の役割を担うのか?」
「今の職場と比べて、何が良いのか?」
「私はこの会社に馴染めるのか?」
という疑問を解消できなければ、入社を決める選択肢には残らないのです。
4つの内、どこか抜けている採用活動だからこそ、
人が辞める・断られる、という負のループが解消できないのです。
そのためには、”入社前”(採用活動中)のコミュニケーションで、上記4つの理解に関する情報は伝えておくべきで、
SNSはその情報を伝えるのに、非常に有効です。
これまでの採用媒体と、SNSで最も異なる点は『見える化』出来る事です。
例えば旧来の有料掲載媒体と比べてみましょう。
これまでの採用媒体では、
紙の求人誌やハローワーク、人材紹介会社のホームページに求人内容を入力する形で求人掲載がされていました。
ここで気づくべきポイントは、固定のフォーマットに指定された要件しか書けなかったということです。
例えば、明るくて風通しの良い社風をアピールしたい時、
「私たちは社員同士の仲が良く、とても明るく、楽しい社風です!」などと
アピール文を書いたことはありませんか?
文章でどれほど楽しさ、明るさを訴えられたとしても、
求職者にとっては実感の湧かないもので、訴求ポイントとしては全く機能していません。
また他社も同じくアピールしており、全く差別化には繋がりません。
しかし、SNSであれば写真や動画を掲載することが前提のため、
社員さんが楽しく過ごす様子を実際に見せてあげることが出来ます。
例えば社員旅行に出かけた様子や、社内で笑顔で働く様子をそのまま見せてあげればいい。
アカウントの運営者は自分ですから、自由なフォーマットでより具体的に示す事で、企業のアピール力も、他社との差別化力もアップします。
➁無料で利用開始でき、フォロワーは資産になる
SNS媒体の利用は無料で開始ができ、利用期間中は無料で使い続けることが出来ます。
そして企業にとって何よりもメリットになるのは、無料でフォロワーを蓄積できるということです。
フォロワー=自社のファン=見込み客
採用もマーケティングする時代。
「リードナーチャリング」として、見込み客(フォロワー)に対して、選考誘導のアプローチを段階的に行い、
選考を受けてもらうため、この企業に入りたいと思わせるため、フォロワーの愛着心を育成していくことが必要です。
マーケティングの最新フローは、AISCEAS(アイシーズ)ですが、採用も同じ。
採用においてSNSは、認知・興味・検索の段階で集客に有効。
かつ無料で出来るので、やらない手はありません。
現代の日本では、人口減少による人手不足が深刻な問題になっており、人手不足が原因で倒産してしまう会社も少なくありません。経営は人材確保がとても重要なので、ソーシャルリクルーティングの導入で採用の幅を広げていく必要があります。
オススメのSNS6選:それぞれの特徴と活用方法
では実際にSNS採用実践したとき、どんな媒体を使用すればよいのでしょうか。
活用ポイントとともに、取り組むべき優先順位順にご紹介したいします。
①Instagram
SNS採用で利用される王道手法がInstagaram。
なぜInstagaram多く利用されているかと言うと、以下の3点が理由です。
①写真と動画が基本なので、「魅力の見える化」に有効
➁更新頻度のハードルが低い
SNS採用でボトルネックとなるのが、以下二点。
・配信用の画像を作るのが大変
・週に複数回も投稿するのは時間がない
しかし、Instagaramであれば撮影した写真をそのまま投稿することも出来る上、
文字入れなどの機能も基本機能として備わっています。
また、利用者の使用頻度として「閲覧回数は多くても、投稿頻度は少ない」という特徴があるため、
毎日更新などせずとも、無理ない範囲で運用でき、
更新頻度のハードルが低さから企業イメージを下げることがありません。
その上で採用には有効で、
採用に力を入れたい時期に沢山投稿し、充足したら投稿を控えるなど
工数のコントロールが可能です。
➁LINE
LINEはコミュニケーションツールとして最も利用頻度が高い物になりますから、
求職者とのコミュニケーションが最も取りやすいものになります。
LINE活用のポイントは、友だち登録者数を増やすこと。
企業のビジネスアカウントを立ち上げ、登録者に対して定期的なメッセージを送ることで情報発信が可能に。
また登録者のパーソナリティ情報を取得することができるので、見込み客のエリアや年齢層、好みの趣向などを把握し、採用マーケティングの運用が可能です。
➂Youtube
YouTubeは今生活の一部に溶け込むほど、視聴時間が長い媒体な上、
企業広報として使いこなせている企業が少ないからこそ、穴場な媒体と言えます。
そして時間無制限で、動画で魅力の可視化が出来る事が、なによりも惹きつけ力をあげるでしょう。
しかし、YouTuberがクオリティの高い動画を上げているように、
企業の動画にもそのクオリティが求められてしまいます。
そのため、動画を撮影し、編集し、投稿しという、ひとサイクルを回すのに莫大な工数がかかることから、動画編集スキルや経験が少ない方にはおすすめできません。
④Facebook
Facebookは本名登録を基本とした媒体なので、パーソナリティ情報が閲覧できるということで活用メリットがあります。
ただ、利用者の平均年齢が高くビジネスパーソンが多いので、若手の採用や、主婦層の採用には向かない所が難点です。
しかし、ターゲティング設定の細かい有料の広告配信もできるため、有料課金型をベースとした採用戦略としては有効かもしれません。
⑤Twitter
Twitterは利用者が多く、馴染みのある媒体なので取り組む方が多いのですが、結果として採用には向いていません。
Twitterは情報の流動性が高い媒体なので、高頻度な投稿が必要です。
また文字数は一投稿につき140字の制限がありますから、ボリュームの多い情報発信には向いていないでしょう。
しかし、個人のパーソナリティで惹きつけが出来る場合は有効で、例えば社長の個人のアカウントを作成して、思想やメッセージを発信すると、それに共感するフォロワーが増加したりします。
ただ、差別化できるかどうか、個性を出せるかどうかが鍵になりますから、事前の戦略設計は必須です。
⑥TikTok
最後はTikTokです。
利用者が著しく増えており注目度の高い媒体ですが、利用者の年代層は10代が最も多く、世代が変わるごとに利用者数は減少しますので、採用での利用は難しいでしょう。
また、動画配信が基本かつ「バズる」(=投稿が注目を浴びること)事が前提にあるので、YouTubeと同じくコンテンツ制作にかける工数が大きく掛かります。
SNS採用を成功させるための3つのポイント
各媒体の特性も分かったところで、最後に「成功する運用のポイント」をご紹介します。
押さえてほしいのは、以下4つのフローを守ること。
①媒体と運用ルールを決める
➁戦略・戦術を練る
➂コンテンツ制作をテンプレ化する
④PDCAを回し続ける
①媒体と運用ルールを決める
まず初めに、媒体ごとの特徴を見極めて運用できそうな媒体を決めます。
そして、手探りで始めるのではなく、運用ルールを事前に決めます。
▼ルールとして決めるべきこと
・運用担当者・・・だれが責任者か
・スケジュール・・・いつ更新するのか
・コンプライアンス要件の設定・・・情報発信可能な情報はなにか
・目標KGI・KPIの作成・・・数値で把握する目標管理
炎上や誹謗中傷といった言葉をよく耳にする通り、
SNSは情報発信のメリットもありますが、リスクも大きく付きまとうもの。
企業イメージを下げないようルール化し、
責任者がやり切れるよう仕組化することが必要です。
➁戦略・戦術を練る
次に戦略・戦術設計です。
取り組みはじめた企業が多いからこそ、他社との違いはアピールしなければなりません。
「この企業で働きたい」と思ってもらうために、
競合はどんな打ち手で採用を進めているのか?
どんなコーポレートイメージにしたいか?
など事前に戦い方を決めることが必要です。
これによって投稿内容も左右されます。
▼戦略・戦術設計で決めるべきこと
・自社調査・・・何が強みか
・競合調査・・・競合の打ち手を把握
・戦術設計・・・自社の訴求ポイントは何か
➂コンテンツ制作をテンプレ化する
戦略・戦術まで決まれば、あとは運用するのみです。
しかし、コンテンツのクオリティも品質担保は必須。
負担をかけずにやり切るには、テンプレ化がポイントです。
テンプレに写真を差し込むだけ
テンプレの文字を変えるだけ
誰でもできるような仕組みづくりで効率は上がります。
④PDCAを回し続ける
最後はPDCAを回し続けるということ。
ステップ①できめたスケジュールで更新し続け、目標数値を達成できたか、どんな投稿が喜ばれているかを数値で管理し、運用改善し続けていくことにあります。
大事な指標は、フォロワー数。
競合に勝ち抜き、「選ばせ・選ばれる会社」であるためにPDCAを回して継続し続けましょう。
おわりに
これまでソーシャルリクルーティングについて述べてきました。
採用もマーケティングで動かす時代。
紹介会社や紙媒体に頼る採用から脱却し、自社の採用力を高めていきましょう。