【3分HR講座】昇格候補者の時点から育成する上申面談・昇格審査会とは?

【3分HR講座】昇格候補者の時点から育成する上申面談・昇格審査会とは?

昇進におけるよくある課題

多くの中小企業において昇進制度は機能していないケースがほとんどです。運用がうまくいっていない多くの企業は、社長自身が経験や勘、恣意的な判断で等級を勝手に上げたり(昇格)、管理職に任命したり(昇進)しています。

たとえば、年齢が40歳を過ぎ、毎日頑張っているからという理由で課長に昇進させてしまっていませんか?これは実力評価で昇進をしたわけではありません。本当に管理職に適しているのであれば問題はないのですが、そうではないケースが中小企業では多々あります。「ほかに適任がいないから、仕方なく管理職に任命している」「年功で順番に指名している」という正当な理由ではない場合がしばしばあります。

もちろん人数が少なく管理職に任命できる人が限られているという厳しい現実があります。しかし、いわゆる「不適格管理職」を組織にはびこらせると、現在の社員、これから入社してくる社員に悪影響を与えますし、人が育ちません。

今、「働き方改革」を中小企業も進めなければいけない時代に突入してきました。中小企業は、真面目にコツコツやる管理職ではなく、社長の意図を汲んで、生産性向上を目的に自ら部下を目標に向けて引っ張っていく社員を育成しなければならないのです。そのため、昇進の制度について見つめなおす必要があります。

昇進プログラムの目的

前項で述べたように、昇進における課題は様々です。これらを改善するべく、企業はまず昇進基準を明確にし、そのうえで昇進プログラムを整備する必要があります。昇進プログラムを実施する目的は大きく以下の3つの理由が挙げられます。
・昇進プログラムを通じて、会社が求める能力を身につけた人財を昇進させること
・昇進した後、戸惑うことなくその役職の役割を全うできるようにすること
・「昇進」において公平性を保つこと

一般的な昇進プログラム

①対象者選出

→本人の意思表示、候補者の選出、上司からの推薦 など

②プログラムの実施

→研修、資格取得、試験 など

③上申面談

→候補者に適正があるかを見極める面談

④上申審査会

→経営幹部陣などで昇進の可否を判断

一般的には、昇進する人材を決定したのち、研修や試験などを実施します。これらのプログラムに合格した社員が上申面談を実施し、経営陣(幹部)などが上申審査する流れとなります。

昇進プログラムの導入ポイント

①昇進基準を明確にすること

まずは昇進基準を明確にしましょう。昇進基準を明確にすることは、社員から見たら、今まで何となく等級や役職が上がってきた状況から、「こうすれば上がるんだ」という納得感と安心感があります。そうすることで、本当の力がある管理職が自然と育っていきます。

②上申面談後のフィードバックを行うこと

合格した人には昇進後を踏まえて、不合格だった人には次回昇進の機会に向けて、必ずフィードバックを行うようにしましょう。結果の合否を伝えた後に、下記3点についてフィードバックを行いましょう。
1.昇進面談で良かった点
2.日々の業務で評価できる点・評価した点
3.本人に対する今後の課題

昇進プログラム導入前後の違い

▼昇進プログラム導入前
・成果を挙げている社員もしくは見込みがありそうな社員を昇進させる
・昇進した後にフォローを実施もしくはフォローなどは特になし

▼昇進プログラム導入後
・役職としての役割を果たせるかどうかプログラムの受講、合格によって総合的に判断
・昇進する前に昇進後の役割を明確にし、教育する
・昇進後も定期的なフォローを実施

まとめ

昇進プログラムを整備することで、社員が自身の役割を認識することができ、会社側もその社員が役職としての役割を果たせるかどうかを総合的に判断することができます。このような昇進前の判断にもなりますが、昇進後のフォローも実施することで、社員の持続的な成長を促すことができます。

不確実性や多様性が高まり、企業内の人員構成が変化するなか、管理職に求められる要件も変化し続けており、昇進の選考段階で、今後成果を上げる人材の見極めも難しくなってきています。さらに、中堅社員の小粒化による後継人材である管理職候補者の枯渇も懸念される今だからこそ、昇進プログラムを整備し、運用できる体制を整えていきましょう。