【3分HR講座】優秀人材採用戦略と実行策
目次
はじめに
今回のテーマは優秀人材に特化した採用戦略と実行策についてです。
本コラムを通して、
①優秀層の学生採用意義
②優秀人材獲得の採用戦略
が分かるようになります。
優秀層だけでなく、どうしたら学生を惹きこめるのかという点でも役立つノウハウも掲載しているので、是非、最後までご覧ください!
優秀層採用が必要な理由
まず優秀人材の解説に入る前に、採用市場について振り返りたいと思います。
ー採用市場の3つの変化ー
ここ数年で我々を取り巻く採用市場は、コロナウイルスの影響で大きく変化しました。
その変化は以下の3点になります。
①採用のオンライン化
OfferBoxもとに船井総研で作成変更
説明会や面接など、採用活動の多くで「オンライン化」が進んだのが1番の変化です。
オンラインとリアルの割合は、コロナウイルス感染拡大以前まではリアル7:オンライン3だったのに対し、リアル4:オンライン6と変化しています。
またオンライン化の拡大により、地方学生の就職活動がより活発になっている点もポイントとして挙げられます。
背景としては、説明会などの参加ハードルが下がったことやそもそも採用情報が以前より多く取得できるようになり、情報格差が減少したことが挙げられます。
②母集団形成の媒体変化
続いて、母集団形成のための媒体にも大きな変化が出ており、「ダイレクトソーシング」や「逆求人サービス」といった、いわゆる企業が学生にアプローチをかける媒体を中心に採用活動を行う企業が増えています。説明会やオフィスツアーなどリアル開催のイベントで集客を行う母集団形成から、Web上で各学生にスカウトをかけエントリーしてもらい集客を行う母集団形成の仕方へと変化しています。
③Uターン・Iターンの増加
学生の志向の変化として、UターンやIターンの増加があります。
都市部の大学に進学した学生が、地元に戻って働くことを基準に採用活動を行っている割合が昨年対比で比べると大幅に増加傾向にあり、一定数、地元に貢献する仕事をすることを目的にしている学生もいますが、業務のオンライン化の加速により、都市部と変わらない働き方ができるという志向の変化が背景としてあります。
そのため、主に地方の企業様にとっては、特にチャンスであると言えるでしょう。
ー優秀人材が「今」必要な理由ー
なぜ優秀な新卒が今必要なのか?
結論、「10年後の業績へ今しかできない投資」だからです。
具体的には、「将来の経営者候補や幹部候補を集める」必要があります。優秀な人材とは、業種や職種、企業のステージによって定義が異なりますが、企業は未来を見据えた採用という軸を持つ必要があります。コロナウイルスの急拡大を経験した今、この先どうなるかが分からないというのは、皆さんも身をもって感じているはずです。その中で勝ち抜いていける企業体制を作るためには、資金繰りや商品戦略と同時並行で、経営資源となる「人」にフォーカスした人事計画を行うことが必須条件となります。しかし、採用から育成・定着、そして経営陣候補となるまでの能力を身に着けるにはかなり時間がかかります。そのため、将来の経営者候補や幹部候補を作るには今すぐにでも優秀人材を確保し、10年後の業績を見据えた採用を行う必要が出てくるのです。
ー将来の経営者・幹部候補の要件ー
多くの仕事に当てはめられる将来の経営者・幹部候補となる人材の要件は、以下2点が挙げられます。
①「論理的実行力」
論理的に物事を考えられる論理的思考力だけではなく、考えたうえでそれを実行まで落とし込めているかが鍵になります。また、実行力がある人材は、成長意欲や向上心が強い傾向があるため、自ら考え、主体的に行動に移せるというのも一つのポイントであると言えるでしょう。
②親が経営者
しかしそんな優秀人財はどこから採用するのか、という疑問もお持ちの方は多いかと思います。その疑問にお答えすると、優秀人財が集う場所の特徴として「親が経営者」であることが一つ挙げられます。
そもそもの経営者候補や幹部候補の要件を整理してみると、親が経営者であるパターンが多いです。経営者の親族では、教育にお金をかけている方が多く、高学歴になる条件や環境があるため、親が経営者であるとその子である学生は優秀層である可能性が高いと言えます。実際に、船井総研で働くコンサルタントのうち、35%以上が親もしくは、二親等以内に経営者がいるというような状態になっており、自然と高学歴な人材が集まるという結果も出ています。
優秀層採用のための採用戦略
ここからは、具体的にどう優秀層や高学歴の学生を採用するかという採用実行策についてご紹介します。
ー差別化の8要素ー
全てに共通して言えるのは、優秀層を採用するためは「他社との差別化」が最も重要になるということです。差別化を図るために、以下の差別化の8要素をもとに4つのポイントを抑え、採用戦略を立てましょう。
ポイント①自社の立ち位置を変える(立地)
⇒自社のアプローチできる学生層の幅が広がる立ち位置まで引き上げることで、優秀な学生の獲得が見込めます。
以下の4階層別の学生のうち、2層へのアプローチに注力することが必要です。
❶❷に関しては、元々自社や同業界にもともと興味があることから、商品サービスを購入していたり、よく知っていて就職したいと思ってる学生層が多いため、その中で一定数の優秀層はいるでしょう。
しかし注力すべきは、❸❹の層です。自社業界以外の業界を志望している層や、業界は絞られてないが、成長したい、スキルをつけたいと考えている層には、人気業界を希望している高学歴な学生がいます。そのため、人気業界を希望している学生層にアプローチができる立ち位置に自社を持っていき、優秀な学生に訴求できるアプローチを行います。
【訴求事例】企業のミッション・コンセプトのリニューアル(船井総研)
自社の事業計画に合わせて、求める人物要件を変更。
それに伴い、採用コンセプトも以下のように変更した。
「不動産業界を変えたい」⇒「業界を変える会社」
⇒コンサルティング業界を志望する学生の中でも、”中小企業”に特化したコンサルティング会社を希望する学生への訴求から、業界にとらわれず”良い会社創り”という切り口で商社や金融業界などと並列で志望する学生への訴求へ切り替えた。
ポイント②ホームページの強化・情報量(販促力)
ホームページの強化として、できることはコンテンツを充実させることです。つまり、情報量が多いかどうかで他社との差が生まれます。しかし、情報をただ充実させるだけでなく、選考の時系列を意識することで学生のニーズに沿った情報発信が可能となります。具体的に注力すべきページと学生が閲覧する時期のイメージは以下の通りです。
・エントリー前後の時期:会社の価値観
⇒企業がどんな価値観やどんなビジネスモデルであるかについて記載することで、自身の就活軸にマッチしているかや興味が惹かれるかの検討材料になります。
・内定出しの時期:社員の紹介ページ
⇒社員の紹介については、記載数が多いほどニーズに沿ったコンテンツに仕上げることが可能になります。多様な役職やキャリアプラン、取り扱っている業務について幅広く対応することができ、ロールモデルを見せることによって、その会社への入社意欲を高めることができます。
また、この他にも学生が情報収集に利用する媒体は変化しているため、SNSなど時流に合った情報発信ができているかということも重要なポイントになってきます。
ポイント③インターンシップのコンテンツを充実させる
高学歴向けのインターンシップとして人気があるのが、仕事の上流である戦略的部分を疑似体験できるインターンシップです。内容としては、課題に対し、いただいた依頼や設定条件を踏まえ、どのような提案をするかを考える問題解決型のプログラムが多いです。その背景としては優秀な学生ほど、知的好奇心や向上心があるという点があります。そのため、難しい体験や経験をしたということに対する意欲が高い傾向にあるので、上記のようなインターンシップには高学歴な学生が集まってきやすいと言えます。
ーPR戦略ー
差別化の次に重要になるのが、その差別化している部分を「伝えること」です。綿密なPR戦略を立てることで、優秀な学生の惹きこみが実現できます。徹底した惹きこみを行うには、以下のPRストーリーの設計と6つのアクション計画が必要です。
①学生に振り向いてもらうためのPRストーリー設計
まず前提として、学生を自社に惹きこむには、学生を自社の「ファン」にすることが重要です。学生が自社に共感できるポイントを増やすことで、価値観が合った優秀層の学生を集めることができます。
アプローチの流れとしては、①自社を認知してもらう ②興味関心を引き出す ③ファン化の3つになります。
この上記3点を満たすために行うべき最初のステップが、「PRストーリーづくり」です。より多くの学生に振り向いてもらえるような「刺さるPR活動」を実現するには、以下の6項目を抑えるのが効果的です。
Ⅰトレンド:DX・ソーシャルリクルーティング・スカウト型メディア
Ⅱ社会性:リモートワーク・成果主義・働き方の多用性・SDGs
Ⅲ新規性:採用専用の動画コンテンツ・通年採用(長期IS)
Ⅳキーワード:コロナウイルス・ニューノーマル
Ⅴモーメント:コロナにより安定性や成長性重視
Ⅵ意外性:リアル開催のイベント・社長登壇
上記の学生の反応が見込める要素を盛り込むことで、USP*を最大限に引き立たせることができます。
*USP=Unique Selling Proposition(独自の強み)
②PRアクション例
採用の全フェーズにおいて、”企業のこだわり”を伝えきるための「情報発信」と「言語化」ができるかどうかが優秀層を採用するための重要事項となります。
そのためのPRアクションとして、企業がPRできる項目の参考例を紹介します。
Ⅰトレンドを抑えた「制度」「カルチャー」があるか
⇒企業のカルチャーに学生ニーズ(トレンド)が反映された制度を決めることで、興味関心を引き出しやすい
Ⅱ社長のタレント性
⇒この社長の会社に入りたい!という共感を社長が自ら作ることで、学生が共感するポイントづくりを行い、ファン化を促す
ⅢSNS等のオウンドコンテンツで情報発信
⇒現在の就職活動は、オンラインが主戦場。情報提供の場・量の多さと、質の高さで埋もれない情報発信を実現する
Ⅳ学生と密なコミュニケーションが取れているか
⇒接触機会が以前よりも減少したため、いかに企業側から学生とのコミュニケーションが取れる機会を創出できるかが差別化の鍵となる
まとめ
今回のコラムでは、優秀人材の採用がなぜ「今」必要なのか、そしてその優秀層をどう獲得するのかという2点を軸にご紹介いたしました。
新卒採用の「質」にこだわることで、企業の組織力も上がり、10年後の未来を見据えた事業計画が立てられるかと思います。