【3分HR講座】部下に行動させる評価フィードバック面談のポイント

【3分HR講座】部下に行動させる評価フィードバック面談のポイント

コラムをお読みいただきありがとうございます。
今回は「部下に行動させる評価フィードバク面談のポイント」についてお伝えします。

評価フィードバック面談とは

ポイントをお伝えする前に、評価フィードバック面談とはどのようなものなのか整理していきたいと思います。
“評価”とついていますので、評価者(評価をする人)が被評価者(評価をされる人)に対して評価の結果をフィードバックする面談になります。
そしてこの面談はただ結果を“伝える”だけではなく、評価結果を受けて改善、成長すべき点を整理して被評価者の行動改善を促す、改善させる、という行動の変化が目的となります。
さらに、評価者が一方的に話をするだけではなく、被評価者から話を聞き自己評価や現在の課題の背景などを知ることもできます。

面談の目的を達成するためにも、この面談は下記が前提となります。
①評価結果は公平・公正である
②評価者が評価結果の理由を被評価者の行動・事実ベースで把握している
③どのような行動を改善させるか整理できている

①②については評価をする上でのポイントとなりますので、今回のコラムでは割愛しますが、③については後述します。

評価フィードバック面談の効果

評価フィードバック面談の効果は下記の3つになります。
①教育指導ができる
②情報収集ができる
③問題解決ができる

この3つの効果についてそれぞれ説明します。

①教育指導ができる

被評価者の強みや弱みを明確にして、育成指導ができます。
また、今後の能力開発のポイントやその進め方等についてアドバイスすることができます。
責任を持って被評価者を育成指導することが、業務品質の向上=依頼者満足度の向上=業績となります。

②情報収集ができる

面談時に、普段見落としていた被評価者の新しい側面を発見することがあります。
適性・興味・関心あるいは問題点などの情報を収集し、それを日常のマネジメントや育成に役立てることができます。

③問題解決ができる

被評価者の業務上の問題に限らず、背景にある個人レベルの問題や悩みについても解決の手掛かりを見つけ出すことが可能です。
個人レベルの問題が解決できたことによって、業務上の問題も解決できるという効果も期待できます。

面談前の準備

面談をより効果的に進めるために、事前に準備をしましょう。
準備のメインは評価者から伝えるべきことの整理です。整理すべき点は下記の3点です。

①被評価者に目指してほしいこと(2~3年後の目標)

評価面談は定期的に行われる面談ですので、この機会に数年単位の目標を確認しましょう。評価者として目指してほしいことは事前に整理をしておき、面談ではそれを伝えたうえで被評価者は目指したいと思っていることを確認して認識合わせをしましょう。

②点数の高い評価結果(長所)

今回の評価結果の中でも点数が高い部分「=被評価者の長所」を整理しましょう。最終的な目標は改善すべきことの改善行動ですが、面談で課題ばかり伝えてしまうと相手も委縮してしまいます。課題を伝える前に相手の長所を褒めるために、事前に整理をしておきましょう。

③点数の低い評価結果(課題)

評価フィードバック面談の目的にもつながる、改善してほしい課題を伝える部分です。
どのような行動・事実があって、その評価結果になっているのかを正確に伝えられるように準備しましょう。特に被評価者の自己評価が評価者の評価より点数が高い場合(例:被評価者の自己評価は3点、評価者の上長評価は2点)は、事実ベースで説明をしないと被評価者が納得してくれません。綿密な準備をして面談にのぞみましょう。

面談の進め方

続いては面談の進め方についてです。
進める流れとしては、下記の順番です。

①アイスブレイク
②被評価者に目指してほしいこと(2~3年後の目標)
③点数の高い評価結果(長所)
④点数の低い評価結果(課題)
⑤次の評価に向けて改善する行動とその具体的な手段
⑥被評価者からの質問や意見
⑦面談の振り返り

②~④については、前述の面談準備で説明していますので、それ以外の①⑤⑥について説明していきます。⑦については「部下に行動させるためのポイント」で説明します。

①アイスブレイク

いきなり面談の本題に入るのではなく、まずはアイスブレイクを入れましょう。このアイスブレイクで相手がどれだけ話してくれるかが重要です。ここであまり相手から話を引き出せないと、そのあとの面談でも話が引き出せずに、評価者がただ一方的に話しているだけの面談になってしまいます。
アイスブレイクで投げかける質問はオープンクエスチョン(YES/NOで答えられない質問)にしましょう。
アイスブレイクの質問例:今日仕事何をしてた?最近の趣味は?今度の休暇は何をする?

⑤次の評価に向けて改善する行動とその具体的な手段

評価フィードバック面談の中でも非常に重要なポイントになります。被評価者が改善しなければならない行動は、「現時点で実行できていないこと」になりますので、ただ単に「改善してください」と伝えても行動にはつながりません。具体的にどのような行動をしてもらいたいのかを明確に伝える必要があります。
「〇〇さんのように」といった形でお手本となる社員の行動を具体例に出すことも有効です。

⑥被評価者からの質問や意見

評価者が伝えたいことを伝えるだけでなく、被評価者が質問や意見を言う機会も面談で用意しましょう。意見については大きなものでなく、日ごろ仕事をする中で困っていることや組織として改善したほうが良いと感じたことなどざっくばらんに何でも聞き出してください。「面談で質問や意見を受けてもその場で解決、回答できないかもしれない」と思われる評価者もいるかと思いますが、無理に解決、回答しなくても良いです。
むしろ曖昧、間違った返答をするよりは、素直に「一度預からせてほしい」と伝えて、上司や会社に相談しましょう。
ですが、一度返答を保留したにもかかわらず、解決に向けた動きをせずに放置をすることだけは避けましょう。被評価者からの信頼を失います。

部下に行動させるためのポイント

最後に部下に行動さえるための面談のポイントを3つお伝えします。

①5W1Hで伝える

次の評価に向けて改善する行動とその具体的な手段を伝える際には、5W1Hで整理しましょう。前述した通り、被評価者が改善しなければならない行動は、「現時点で実行できていないこと」になります。
「そこまで整理しないといけないの?」と思うレベルまで面談で実行することを批評価者と一緒に整理しましょう。
例えば、「今まで作成したことが無い申請書類の作成が1人でできるようになる」という行動目標があったとします。これを分解していくと、

What:申請書類
Who:先輩のAさんと一緒に
Where:事務所で合間時間に
When:1か月以内に教わり、2か月以内に1人でできるようになる
Why:毎回先輩に頼らずに申請書類作成の仕事を実施できるようになるために
How:A先輩から書き方を教わる、自分で作成してみてA先輩にチェックしてもら

となります。このレベルまで具体的に整理できると良いです。

②面談の最後に確認する

先ほど説明した面談の流れで「⑦面談の振り返り」に該当する部分です。面談を終える直前に「明日から何を取り組むのか?」を必ず被評価者の口から言わせてください。
その時点で言えない場合は、評価者からもう一度伝えましょう。
面談を終えるタイミングで言えないのであれば、行動に移せません。
暗記する必要があるわけではありませんので、メモを取らせてそれを読み上げる形でも問題ありません。ですが、メモを取っていても全く違うことを回答する(=評価者が伝えたいことが伝わっていない)というケースもあり得ますので必ず確認しましょう。

③次の評価までの間に進捗確認をする

時間が経過すると設定した「改善する行動とその具体的な手段」を徐々に忘れてしまいます。結果として次の評価を実施したら全く行動が変わっていなかった、という状況に陥ります。ですので、進捗確認をするタイミングを月1回程度で設定してください。
評価フィードバック面談ほど時間は必要ありませんので、5~10分程度でも良いので必ず実施しましょう。
進捗シートを使って状況を確認することも有効です。

いかがでしたでしょうか?
評価フィードバック面談はただ実施するだけでは効果が見込めませんし、被評価者の記憶にも残りません。
また、内容や質に評価者間で差が出ると、面談を実施していたとしても「〇〇さんの部署はフィードバック面談を受けているけど自分は受けていない」といった不平不満も出てきてしまいます。

部下に行動させる評価フィードバク面談の仕方をレクチャーする評価者研修を船井総研では実施していますので、フィードバック面談の効果を最大化させたい会社様はぜひご相談ください。