せっかく採用した人材が定着しない!その理由と対策とは?
人材確保が難しい今の時代、せっかく新しく人を採用しても定着せず、頭を悩ませている経営者も多いのではないでしょうか。
新たに新人を採用することはコストも手間もかかるのに、すぐに辞めてしまうとまた採用しなければいけない、という負のループに陥ってしまいます。
本コラムでは、 人が定着しない職場にはどのような特徴があり、定着率を上げるためにどのような対策をすれば良いのかについて解説します。
目次
年々、離職率は上昇傾向!
人材難のこの時代、食品製造小売業界では、募集をかけても従来のような人材確保が思うようにいかず、
「製造量を拡大できない」「出店ができない」等の問題が、各地で起こっております。
人材不足の理由としては、労働生産人口の減少に伴い、
採用競合が増え、有効求人倍率が上昇していることが挙げられます。
しかし、採用面の問題とあわせて、定着面の問題、
すなわち業界内での離職率が年々上昇していることも、ひとつの要因です。
厚生労働省が発表した、新規大学卒業者の
「食料品製造業界における卒業3年後の離職率」の推移によると、
平成20年卒の学生の離職率が25.5%だったのに対し、
平成24年卒の学生は、32.4%と、上昇傾向にあります。
人材が定着しない職場の3つの特徴
人材が定着しない職場では、何かしら問題がある可能性が考えられます。従業員が辞めてしまう職場の特徴には以下が挙げられます。当てはまる特徴がないかチェックしてみましょう。
労働環境が悪い
人手がなく、忙しい会社では、周りに遠慮してなかなか休暇や休憩が取れないのに、残業だけは増え続けています。
労働時間や休暇などの労働環境に問題がある職場は、プライベートよりも仕事優先のワークライフバランスになり、残業続きでストレスになったりして離職してしまう可能性が高まります。
また、業務のフィードバックや教育を行える体制が整っていない場合には、従業員が成長ややりがいを感じなくなったり、職場に対し居心地の悪さを感じたりすることも考えられます。
職場の雰囲気や人間関係が悪い
職場の雰囲気や人間関係の良し悪しは、人材が会社に定着するうえで重要なポイントです。
職場内でのコミュニケーションが少なく、閑散とした職場環境では、やりがいや情報共有が活発に行われず、働きにくさを感じてしまい、離職につながる可能性があります。
また、上司・同僚・部下などとの人間関係に問題(パワハラやいじめなど)があると、業務に支障が出たりする可能性もあります。
例えば、勤続年数の長い社員が新しく入った社員に対して素っ気ない態度をとったり、仕事を押し付けたりすることで、ストレスにつながったり、無断欠勤など、問題がさらに大きくなります。
やりがいを感じない
このまま働いても将来性を感じなければ、社員はモチベーションを保てずに辞めていきます。
会社の雰囲気や、尊敬できる先輩がいるかどうか、仕事の内容、ワークライフバランスなど様々な要因があります。
入社当初はわからないことだらけで覚えるのさえいっぱいいっぱいですが、その後も仕事が簡単なルーティン作業しかなかったり、やりたいことをやらせてもらえない環境はやりがいを見出しにくくなります。
人が定着しない職場は、数年後、数十年後の理想となる先輩社員がいないため、どんどん人が辞めてしまうという負のループになります。
人材が定着するための3つのポイント
では、そのような背景でも人材定着がうまく出来ている食品企業はどのような取り組みをしているのか。
大きく分けて3つのポイントがあります。
働きやすい環境を整える
まず1つめは、働きやすい環境を整えることです。
これは、労働環境を根本的から改善することを意味します。
食業界は、長時間労働が慢性化しがちな業界ですが、
今や長時間労働イコール、ブラック企業と認識されてしまう時代です。
スタッフに過剰な負担を強いている環境であれば、人材も定着しないし、
採用活動においても不利になります。
最近では、24時間営業のファミリーレストランが深夜営業をやめたりする例も見られますが、
お付き合い先でも
「終礼を導入して、残業する人に残業内容と目標帰社時間を発表させるようにしたら
翌月以降の残業代が明らかに減った」
という改善事例もあがってきています。
ブラック企業が社会問題となっている現代において、
労働時間短縮や、休みがとれるような環境づくりは必要条件です。
先の見える教育計画を提示する
2つめは、「先の見える教育計画」を提示することです。
多くのスタッフにとって、辞めてしまう大きな理由のひとつに
「先が見えない」ということがあります。
つまり、将来、どのように成長できるのか、またはどんな働き方ができるのか、
会社側が提示してあげる必要があるのです。
ここでいう「将来」とは、どれぐらい先までを言うのでしょう。
新入社員であれば、少なくとも入社後から6ヶ月目までの「サブゴール」を設定してあげる。
サブゴールとは、「入社半年で、フロアを1人で回せるようになる」などの中間目標です。
中堅社員であれば、もう少しスパンを先まで見せてあげる必要があります。
「3年後にはウチの会社ではこんな仕事があります」
「こんなステップでなれます」
「労働環境改善は、こんなふうに進めます」
などのように、会社の戦略、方針に沿って、個々人のキャリアビジョンを見せてあげることです。
お付き合い先では、これを「仕事カタログ」という形にまとめて、スタッフに提示しています。
人間関係の良い職場を作る
3つめは、「新人の受け入れ体制の整備」です。
特に、「新しい人材が定着しにくい」という職場は、まずここを改善する必要があります。
社歴の長い社員は普通に仕事をしているけど、新人が定着しないというのは、
採用の問題もありますが、受け入れ側の先輩の意識や考え方によるところも大きいのです。
まずは、新人がほったらかしにならないよう、
受け入れ担当者を必ず1名、職場で任命することです。
いわゆる「お世話係」ですが、条件としては
「新人と年齢が近いスタッフ」「会社に対して協力的なスタッフ」です。
新人が入ってくる前に、その「受け入れ担当者」を中心に、
受け入れミーティングを開催すること。
入社初日に必要なものの準備や、入社1日目のスケジュール、
新人との接し方のルールなどを決めます。
また、コミュニケーションをとりやすくする環境も必要です。
「新人とどう接していいかわからない」という先輩は、以外と多いものです。
話題づくりのきっかけに有効なのが、先輩社員や新人のプロフィールシート。
名前、プライベート写真、趣味、好きな食べ物、座右の銘、カラオケ十八番・・・
これらの情報をバックヤードやキャビネットに貼り出して共有することで、
新人も、先輩のことを覚えやすくなりますし、
先輩も、新人がどんな人なのかを知れて、コミュニケーションがとりやすくなります。
まとめ
以上、3つの定着率アップ策についてお伝えしてきました。
今後、ますます人材確保は難しくなっていくことが予想されます。
そのために、労働環境を改善したり、休日を充実させたりする取り組みは必要です。
しかし、時間を短くしたら売り上げも減った、でも人件費は上がった、では経営は成り立ちません。
これらの環境整備を整える一方で、「いかに生産性を高めるか」が重要なのです。
生産性を高めるために、「人材が定着し、戦力化する仕組み」を作ること。
その一方で、機械化・システム化のように「マンパワーに頼らなくても済む環境を作ること」
も、経営者の仕事です。
今後の組織計画をお考えの方で、人材の定着にお悩みの方は、ぜひご相談ください。
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