ダイレクトリクルーティングと採用受容力
ダイレクトリクルーティングのこれから
ダイレクトリクルーティングとは?
厚生労働省の発表によると、2016年の有効求人倍率は1.36倍で、前年より0.16ポイント上昇しています。リーマンショック以降7年連続で上昇しており、25年ぶりの高水準を記録しました。またそれに比例して、主要求人媒体における求人広告件数も右肩上がりで増加しています。
採用におけるターゲット母数は減少し、競合数は増加しているので、今までと “同じ媒体” で“同じ枠サイズ” で “同じ広告内容” であれば、募集に苦戦するのは必然と言えるでしょう。
そのような中、近年注目を集めているのが「ダイレクトリクルーティング」という手法です。
ダイレクトリクルーティングとは、「企業による積極的(主体的)な人材採用」のことを指します。海外では10年以上前から、このダイレクトリクルーティングが主流となっていますが、日本では数年前から普及しだしています。
これまでの、求人広告や人材紹介会社を活用した採用は、「守り(待ち)の採用」と言われていますが、攻めの採用と呼ばれるダイレクトリクルーティングでは、基本的に企業が主体となって求職者へのアプローチ手段を選定し、自ら動くことになります。
ダイレクトリクルーティングという言葉の定義は広く、日本では人材データベースの利用と共に広まった言葉であることから、データベースを用いた採用活動と認識されていることが多いでしょう。しかし、上述のとおり、これまでの求人広告の出稿や人材紹介会社の利用など、自社以外の第三者に採用母集団の形成を依頼し、応募を待つ採用活動ではなく、企業自らが積極的に自社に合う人材を見つけ選定する、攻めの採用手法全体を指します。
つまり、ビズリーチやキャリアトレック、ウォンテッドリーなどのような、人材が登録されているデータベースを活用する採用活動もダイレクトリクルーティングですし、SNS等を積極的に活用して人材にアプローチする方法もあります。社員紹介や縁故採用など、リファラルリクルーティングも広義の意味ではダイレクトリクルーティングに含まれるでしょう。
また、indeedやキャリアジェットのような検索エンジンを活用して、求職者と自社HPをマッチングさせる手法もそのひとつです。
求人チャネルと採用受容力
総人手不足時代の昨今において採用強化を図るためには、従来の採用手法だけでなく、ダイレクトリクルーティングのような新しい手法も取り入れて、求職者へアプローチする求人チャネル(打ち手)をいくつ持つかということが非常に重要になってきます。
また、それと同様に、採用側の受入体制も多様化させる必要があります。受入体制の多様化とは、「採用年齢や対象者に柔軟な会社」ということです。そのような企業を目指すには、自社の今の仕事に合う人だけを採用するのではなく、「人に合う仕事を創る」ということが必要になってきます。うちの仕事はこうだから、こんな人しかできない、と決め付けるのではなく、今までとは違うターゲット層でも活躍できるような仕事をどう創るのか、という発想が重要なのです。
たとえば、勤務体系や就業時間を人に合わせて柔軟に対応したり、女性が働きやすい職場環境を整えたり、高齢者や外国人の方でも活躍できる仕事を用意したりと、少しの工夫や取り組みで、今の時代でも人が十分に集まっている企業もいます。つまり、職場環境や仕事内容、就業時間・場所の柔軟性をいかに持つかという、採用受容力を高める取り組みも意識していただければと思います。
時流適応採用の実践
船井総研の創業者である舩井幸雄は、常々「時流適応・原理原則経営」の重要性を説いてきました。採用においても同様で、ダイレクトリクルーティングという時流に適応した企業が勝ち残る時代ですので、ぜひうまく適応していただければ幸いです。