採用の重要さを社内に浸透させるために人事が出来る事

採用の重要さを社内に浸透させるために人事が出来る事

多くの中小企業が抱えている採用の課題とは

昨今の売り手市場によって中小企業の採用活動は新卒・中途問わず苦戦を強いられています。
新卒採用の求人倍率も全国平均で1.7倍、中小企業に至っては3.5倍
中途採用の求人倍率も全国平均で2.7倍、中小企業に至っては4.5倍
と年々、深刻な問題になっています。

ただ、中小企業にとってこの求人倍率は今に始まったことではなく、過去からずっと大企業よりも中小企業の方が求人倍率は高かった。最近の中小企業の倍率にしても、過去と比べると2倍以上厳しい状況になっている訳ではありません。従って中小企業が採用に採用難に陥っている根本的な原因は別なところにあるのです。

しかし、多くの中小企業がその根本的な原因を解決するためのアクションや取り組みが出来ていないのが、現実です。
それは経営者や幹部が気が付いていないという事もありますが、人事部がその原因に気が付きながらもそれを経営者に伝えると“言い訳”として取られてしまったり、“後回しに”されてしまう事がほとんどだからです。

経営者、幹部に根本の原因があることがほとんど

では、その根本的な原因とは何でしょうか?それは、“社内体制”です。もっと言うと、“経営者・幹部の採用に対する優先順位の問題”にあります。
例えば、新卒採用の活動でいうと学生はより多くの“現場の社員”との交流を望んでいます。近年ではインターンシップで現場の社員と一緒に働く・ワークをすることがきっかけでその企業に興味を持ち、そのまま入社するという流れが支流になっています。しかし、社内体制が整っていない企業は、インターンシップでは採用担当者としか接点を設けることが出来ず、学生の入社意欲を高めることができていません。
「いや、うちの社員は協力しているよ!」という企業もあるかとおもいますが、圧倒的にその時間や回数が少ない企業が多いのが現実です。
そういった事態がなぜ起きているかと言うと、先に挙げた“経営者・幹部の採用に対する優先順位の問題”にあります。「〇〇さんは、営業成績が良いから別な人を・・・」「その日は大事な商談があるから人事だけで・・・」
「その日は休日をとらせないとシフトがまわらないから・・・」など経営者や幹部が口にしているのをよく聞きます。確かに利益を直接的に生む活動の優先事項は高くなってしまいます。
けれど、その優先順位の置き方がどれだけ、未来の利益の損失を生んでいるか・・・
分かってはいるけれど、なかなか優先順位が変えられないという企業様が多くいらっしゃいます。

人事部は会社を変える鍵を握っている。

そんな経営者や幹部の意識を変えられるのは、人事部しかいません。
ただやみくもに、採用活動の優先順位を上げて欲しいと訴えても、それは子供の駄々っ子と変わりません。
より具体的に、自社を受ける学生の要望や自社を辞退する学生アンケート、また競合他社の状況など様々なリサーチを行い外的要因の可視化を行います。次に、内的要因である、新卒の生産性や昇進率、離職率、育児休暇からの復帰率や継続率などを年次別に可視化します。そういった情報を基に経営者や幹部に採用活動の重要性を説いていきましょう。そうすることで、昨年よりも一人、二人と採用活動に協力してもらえる社員を増やすことができるでしょう。

人事部は組織作りののプレーヤーから監督へ

ただ、情報を集めて可視化して経営者や幹部に伝えてもすぐに会社が変わるわけではありません。
一歩ずつ、一歩ずつしか変わりませんし、とても根気のいる活動です。社内行事や飲み会などの席でもコツコツとその重要性をことある毎に伝えていって初めて実を結びます。
ただ、変化が表れ始めるとそこから加速度的に変化が現れます。会社の業績は伸び、一人当たりの生産性は高まり、離職率は改善されていく。そして、ES診断やサーベイでは高い数値が出るようになります。
こうなってくると、人事の役割や情報の流れはハブ空港のように、会社の橋渡し的な存在へと変化していきます。
プレーヤーから監督へとポジションチェンジです。良い会社の優秀な人事とはこういったステップを踏んで自らのポジショニングと会社の業績を伸ばし続けられる人材です。