【人事評価における「絶対評価」とは?「相対評価」とは?】特徴と導入のポイントを徹底解説!
いつも本Webサイトのコラムページをお読みいただきまして、ありがとうございます。株式会社船井総合研究所(船井総研)HRストラテジー支援部組織開発グループの松尾です。本コラム記事では、人事評価制度における「絶対評価」と「相対評価」の特徴や導入のポイントについて、解説しています。自社の人事評価制度や賃金制度を今一度見直したいという企業の経営者・人事責任者、導入のポイントを知りたい方にオススメです。
人事評価制度において、明確な評価基準を設けることが非常に重要であり、良い評価制度は従業員の成長やパフォーマンス向上、離職率の低下につながると言われています。
一般的に企業では、人事評価において相対評価または絶対評価のいずれかを採用して、個人の能力を評価しています。最近では、絶対評価を採用する企業が増えていますが、どちらの方法にも一長一短の特徴があり、どちらが優れているということはありません。
今回のコラムでは、相対評価と絶対評価の特徴と人事評価における絶対評価と相対評価の活用方法についてご説明していきます。
目次
【相対評価】
相対評価とは、個人の成果や能力をその組織内の他者との比較によって評価を行う方法です。あらかじめランクごとに割り当てられる人数の割合を決定しておき、順位付けした社員を上から割り振っていくことで評価を決定します。
例えば、S評価は上位10%、A評価は10%~30%、B評価は30%~60%、、といった形であらかじめ評価の分布を定めておき、能力に応じて順位を割り振ります。スポーツにおける「〇位以上が予選通過」という仕組みも相対評価の一例です。
このように、全体の中での個人の成果や能力によって順位付けされるのが相対評価です。
■相対評価のメリット
①評価者の負担が少なく人件費のコントロールができる
相対評価における評価者の判断としては、社員同士の成果や能力を比較し順位付けを行うので、評価者としての判断は絶対評価よりも容易になります。
また順位付けした社員を、事前に決められた枠に割り振るため、支給する人件費に変更が生じることは無く予算内での給与支給が可能になります。
②組織内における競争が活発化する
相対評価は組織内の他者との比較により順位付けされるため、組織内での競争意識は自然と芽生えやすくなると言われています。
組織内で高い成果を獲得すると、確実に高い評価結果がつけられるということが明確なので、周りの人とライバル心を持ちながら業務に取り組むようになります。
■相対評価のデメリット
①評価下位のメンバーが固定化する
相対評価では評価が下位のメンバーは固定化してしまうことがあります。
一度低い評価がついてしまうと、仕事への苦手意識やモチベーションが下がってしまうことで、次回の評価においても良い成果を残せないという負の連鎖に陥ってしまうことがあります。
②評価に公平性が無い
相対評価は組織全体の評価が高ければ基準も高くなり、反対に全体の評価が低ければ、基準も低くなります。そのため、個人で設定した目標を達成できたとしても、他の人がそれを超える成果を出していれば、自分の評価は下がることになります。
頑張りが評価されないとなってしまうと、モチベーションの低下にもつながりますし、個人のスキルアップという面でも障害となりかねません。
③評価理由の説明が難しい
相対評価では社員同士の能力にあまり違いが見られない場合でも、順位付けを行う必要があります。
また、順位付けを行う中で上司の裁量で部下の評価を上げたり下げたりすることも可能になるため、社員に対して評価結果を伝える際、その理由を答えにくくなってしまうということがあります。
【絶対評価】
絶対評価とは、個人の成果を、あらかじめ設定された基準に基づいて評価する方法です。
所属する組織のレベルに左右されることなく、個人が目標の基準を満たしているかどうかで評価を行います。そのため、個人の評価に基づいて、具体的なフィードバックや改善点を示すことができ、モチベーションやスキルアップに繋がりやすいと考えられています。
個人同士を比較するのではなく、個人の成果を独立して評価します。
■絶対評価のメリット
①より納得感のある評価ができる
相対評価では、他者との比較から評価がつけられるため、理由が明確ではありません。
一方で絶対評価は個人が設定した目標に対しての達成度で評価を行うため、明確に評価結果を説明することができ、社員の結果に対する納得度も高くなります。
②個人のスキルアップが期待でき育成に繋がる
絶対評価では結果がはっきりと出る分、自分に足りていない部分や改善点が明確になりやすいという特徴があります。そのため上司からのフィードバックにおいても、今後レベルアップしていくために必要なことを段階的に目標化して伝えることができ、若手社員の育成に繋げることができます。
また、組織内での競争ではなく、個人の目標に対する達成値が評価となるため、若手社員だけでなく全社員の自己成長意欲を促進する効果が期待できます。
■絶対評価のデメリット
①人件費の調整が難しい
評価結果を賞与や昇給に反映させる場合、どのぐらいの原資を確保しておくべきなのか予測を立てることが難しいです。
相対評価ではあらかじめ決定している予算を振り分ける形でしたが、絶対評価では全員の評価結果が出るまでどのぐらいの予算が必要になるか明確ではありません。そのため、全員が自分の目標値を超える成果を出した場合、予想以上の支給額となるため、調整が難しくなります。
②適切な評価基準の設定が難しい
絶対評価では、適切な評価基準の設定が難しいというデメリットがあります。
設定した目標値に対しての達成度で評価がつけられるため、目標値が高すぎる場合、多くの人が低評価を受けることになります。
一方、目標値が低すぎる場合、達成が簡単すぎて高評価が多くなってしまいます。
そのため個人の能力をきちんと把握した上で、全体を通して公正な評価基準を設定できるかどうかという点が、絶対評価運用のうえで重要なポイントとなってきます。
③評価格差がつけにくい
絶対評価は相対評価よりも評価格差をつけにくいデメリットがあります。
目標設定の時点で、少し頑張れば達成できるレベルを目標値とするため、実績は必然的に目標値付近に固まってきます。
そうすると、評価結果は妥当であったとしても、全体の評価格差が付きにくくなってくるため、高評価が昇給に繋がるという評価制度のインセンティブ機能が失われることになってしまいます。
【相対評価と絶対評価の活用方法】
ここまで相対評価と絶対評価の特徴について説明してきましたが、必ずしも相対評価と絶対評価のどちらかを選択しなければいけないということはありません。
最近では、相対評価と絶対評価を組み合わせる企業も増えています。組み合わせ方としては、1次評価は絶対評価で行い、2次評価以降を相対評価で行うといった2段階評価を用いるやり方です。
あらかじめ個人の目標設定をした上で、目標に足しての達成度を1次評価として行います。その状態だとあまり評価格差が見られないため、そこから相対評価により補正していきます。
これにより、個人の成果向上へのモチベーションと、社内での競争意欲のどちらも向上させることができ、この2つの評価方法を組み合わせることで、少しでも妥当な評価に近づくことができると考える企業が増えています。
【まとめ】
企業における納得できる人事評価制度の導入は組織を拡大していくうえで取り組むべき重要な項目の1つと言えます。しかし、どれだけ優れた評価制度を構築できたとしても、運用が上手くいかない限りは効果は望めません。
そのため、まずは評価を取り入れる目的や目標を社員に理解してもらえるよう、自社に合った評価制度をきちんと見極めて取り入れることが大切です。
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