《新型コロナ対応》テレワーク導入の手順とは?
本日のコラムは「テレワーク導入の課題と手順」というテーマでお送りいたします。
テレワークの進行と露呈する課題
新型コロナウイルスの影響で起きた働き方の変化といえば、真っ先に浮かぶのがテレワークでしょう。
東京都のテレワーク導入率緊急調査では、2020年3月のテレワーク導入率が24%なのに対して、2020年4月のテレワーク導入率が62.7%とテレワークの導入が急激に進んでいることが見て取れます。しかしながら、導入できない企業で社員の不満感が募る、急激な変動により組織へのひずみが生じるなど、様々な課題も露呈しています。
テレワークで期待できる効果
企業がテレワークによって得られるメリットは多分にあります。
特に、総務省の発表によると、オフィス事務系のコストの削減では、事務用紙等の使用量は約14%削減、旅費・交通費の削減率は約18%削減と、大きな成果を見込んでいます。また、会議室・オフィススペースの使用率が約25%削減され、オフィス賃貸料のコスト削減も可能になります。
働き方改革にも大きく貢献しており、テレワークを導入している企業では、残業時間が約45%減るなど、残業代の大幅な削減を見込むことが出来ます。
テレワークを導入できない理由
内閣府のデータでは、テレワークを導入できない理由として以下が挙げられています。
その中でも最大の理由としては、そもそもテレワークを導入する職種がないことが挙げられています。しかし、実際には、ひとくくりに「出来ない」と決めつけてしまっているだけで、業務フローを分解することで、業務の一部もしくは大部分をテレワークへ移行できる場合があります。また、「出来ない」と思った業務でも、環境を整えることでテレワークに移行できることもあります。
(内閣府:新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査)
さらに、その業務フローの中から、コロナ禍で休業や延期せざるを得ないものと、コロナ禍でも業務を遂行し成長する可能性があるものを棚卸し、対策を講じることで業績を伸ばしている会社も現れています。
例えば、新型コロナウイルスの影響が甚大な業界の中に「イベント・レジャー業界」がありますが、新潟県に本社を置くアウトドア総合メーカーの株式会社スノーピークはコロナ禍でも業績を伸ばしています。
これは、企画、製造、販売、顧客エンゲージメントというバリューチェーン上の各ステップで「自宅/リモートワークで使える商品開発」「物流のバックアップ体制構築」「オンラインチャット機能導入」などの対応策を打ち、成長事業に業務を集中したためだといえます。
テレワークは単に「社員を休ませない」だけではなく、コロナ禍でも企業を成長させる一つの手段になると言えるでしょう。
テレワーク導入の手順
実際にテレワークを導入するためにどのように進めていくべきでしょうか。
テレワーク導入の手順は次の4つのSTEPに分かれています。
➊現状把握・目標設定
一つ目は「現状把握と目標設定」です。
まず、現状の労働環境やツールの使用状況が、テレワークにどれくらい合致したものとなっているのかを確認します。
例えば、ペーパーレスはどれほど進んでいるのか、現在利用しているICT環境はどうなのか、情報セキュリティ対策は行っているかを判断していきます。
そして、何がテレワークに移行出来て何が出来ないのかを判断するために業務フローを分解していきます。
すべてをテレワークに移行できなかったとしても、一部を移行することは可能であることがあります。各職種・役割を整理し、そもそも自社にはどのような業務があるのかを洗い出していきます。
その後、目標設定をします。
どのスパンでどこまでテレワークへの移行を進めるのかを決定します。
弊社ではテレワークの成熟度モデルを以下のように定義していますが、現状どの段階に自社がいて、どの段階までいつまでに進めるのかを設定します。
➋テレワーク導入可否の判断
自社の状況が分かった後に、どの業務がテレワークに移行出来て、どの業務が移行できないのかを判断していきます。
ここで重要なのは「判断軸」を有しているかです。
Aはできない、Bはできる、というように闇雲に判断するのではなく、そもそもなにを基準としてテレワーク出来ると判断するのかを知る必要があります。
例えば、各コンサルティング会社が開発している「テレワーク診断」を受けてみるのもよいでしょう。
ただし、導入可否は設定した目標によってことなる点がありますので注意する必要があります。
➌環境の整備
何をテレワークに移行するのか判断したあとに、導入段階に移ります。
ここで必要なのは以下の3つです。
a) ITツールの導入
自社に必要なITツールを導入していきます。
テレワーク成熟度の段階によって必要なITツールは異なりますが、リモートアクセスツール、コミュニケーションツール、管理システム、ペーパーレス化ツール、モバイルワークツールなどを利用します。
ITツールの導入に関しては内閣サイバーセキュリティーセンターなどでも情報を公開しているのでぜひご覧ください。
b) 人事制度の策定
成果に連動した人事制度を策定します。
営業など個人の目標数値を持っている職種については目標に連動した給与体系にしていきます。バックオフィスの場合には、「QCD」(Quality, Cost, Delivery)を給与に紐づけるとよいでしょう。
c) 社内ルール(規則)の作成
社内ルールも必要です。
仮想オフィスなどのツールを利用している場合には、「仮想オフィスに常時出社する」といったシンプルなルールがわかりやすいですが、業種によってはより細かなルールが必要になります。
➍オンラインカルチャーの形成
ここまででテレワークの導入は完了です。
しかし、最後に最も大切な「オンラインカルチャーの形成」をすすめる必要があります。
そもそも、いままで必要だったオフィスの役割とは何だったのでしょうか。
我々は、「オフィスは1種のコミュニケーションツールだった」と考えています。オフィスにいれば気軽な雑談などのコミュニケーションが出来ますが、物理的に離れてしまっているテレワーク期間中にはなかなかそのような気軽なコミュニケーションをとることが出来ません。
コミュニケーションをとることが出来ないと、人は「集団への帰属欲求」が満たされず孤独感に苛まれてしまいます。
マズローの欲求5段階説では、人間の欲求には、「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求(所属と愛の欲求)」「承認欲求」「自己実現の欲求」の5段階があり、低次の欲求が満たされるごとに一つ上の欲求を持つようになるとされています。
テレワークで孤独感にさいなまれている人は、この三段階目に位置する社会的欲求が得られていない状態にあります。この状態がつづくと社会的不安を感じやすくなり、生産性が落ちていってしまいます。
対策としては、アクティビティなどの交流の場を設けることもよいでしょう。社会的欲求を脅かすコミュニケーションの障害を取り除いていく必要があります。テレワークを導入しても生産性を上げていくためには、自社にあったオンラインカルチャーを模索していくことが必須、と言えるでしょう。
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