【3分HR講座】社員に仕組みを理解して考えさせる評価制度発表会の手法
人事評価制度の構築・運用に必要不可欠なのは社員からの制度に対する理解・納得です。
そのための一つの手段として、運用開始前のタイミングでは「評価制度発表会」を実施することが一般的です。
では、社員の方々に理解し、納得してもらい、そして自身の今後を前向きかつ真剣に考えてもらえるキッカケにするような発表会はどのよつにすればよいのでしょうか?
今回のコラムでは、準備段階から実施後までの、評価制度発表会の内容とポイントを解説いたします。
目次
評価制度発表会の目的
評価制度発表会の主な目的は下記の様なものがあります。
・正確な制度内容を社員に理解してもらうため
・制度導入の意図に納得感を与え、疑問を解消し、スムーズな運用に進むため
・評価制度の導入にともなう社員のモチベーションアップのため
これらを踏まえて、評価制度発表会を準備し、臨んでいく必要があります。
発表会に向けて事前に準備するべきこと
まず、発表会に際して、サンプルとしての評価シート(評価制度)、そしてわかりやすく制度についてまとめたガイドブック、導入意図やモチベーションアップを目的とする説明用のスライドの作成、準備が必要です。
・ガイドブックの作成
ガイドブックは、その名の通り人事評価制度を社員にわかりやすく、かつ網羅的に説明するものです。
内容については、制度の概要と、人事制度・評価制度・給与制度の三本柱をベースとしたものを記載するのが一般的です。
このガイドブックの解説という形で制度の正確な理解につなげることが重要です。
このガイドラインは就業規則や賃金規定とは別の資料になります。
就業規則や賃金規定は文章ばかりで表現も難しく、社員の方々の理解度を上げるには不十分ですし、読むことを避ける社員もいます。一方でガイドラインは図や表なども多く使い、ぱっと見で制度が分かりやすくまとまっているので、社員の方々も常日頃から中身に目を通してくれます。
※具体的な中身にご興味がある方は経営相談窓口からご連絡ください。
・発表会用スライドの作成
発表会では、正確な理解とは別に、制度導入への納得感を与えることとモチベーションアップも目的としており、それらの意図を踏まえたスライドを作成するとよりよいです。
具体的には
①導入の意図として、管理や賃金の抑制が目的ではない
②会社および社員の成長につなげるために制度を導入する
③制度を導入することにより、取り組む施策や求められる役割が明確化され、それにともなうキャリアアップや賃金上昇が見込めるといったメリットがある
といったことをわかりやすく解説することが重要です。
また、もっと前からの準備という点では、管理職クラスを可能な限り巻き込みながら制度作成を進め、発表会時には管理職クラスからの疑問や反発がない状態にできると非常によいです。もっと言えば管理職クラスが経営陣側に立ち、一般社員へ向けて一緒に説明、サポートをしてくれる状態にするのが理想的です。
発表会当日に話すべき内容とポイント
発表会当日は、準備したスライドに沿って話していきますが、そこにもポイントがあります。
一般的なスライドの流れを内容とポイントを踏まえて、解説いたします。
①導入意図の説明
前述したように、制度の導入の目的・意図をまず最初に話します。
ここで、きちんと目的を公言することで、社員の不安感や懐疑心を解くことが今後において非常に重要になってきます。
ここをなくして、制度の内容解説だけにすると大きな反発や、最悪の場合は離職などにつながる恐れもあります。
また、このパートについては社長が直接語ることが望ましいです。
②制度導入によるメリットの訴求
続いて、メリットの訴求を行います。意図や目的はわかったが、具体的に自分達にどんなメリットがあるのか?(逆にデメリットは?)というのがつまるところ社員に最も関心を持たれる点です。
社員から見た評価制度のイメージは、管理されるという思いを抱かれることがどうしても多く、プラスの印象でないことが多いです。
それを踏まえて、ここではきちんとメリットを訴求し、
「皆さんが評価制度を踏まえてしっかり取りくめば、会社にとってはもちろん皆さんにとっても大きなメリットがあります」と話し、後につづく制度の解説に集中してもらえるようにしましょう。
③制度の解説
次に制度の解説です。
ここはガイドブックにのっとって話を進めることが最も多いです。
その際にポイントは2点です。
1つ目は、可能な限りわかりやすい表現で噛み砕くこと、です。
制度を構築してきた側にとっては当たり前のことであっても、はじめて聞く社員にとってはわからない言葉や仕組みであるのが人事評価制度です。
等級制度とはどういう仕組みのものなのか?
何をしたらキャリアアップできるのか?
評価シートはどのように使えばよいのか?
賃金はどのように構成されているのか?
…
と、一つ一つをきちんと伝わるようにわかりやすい言葉で解説することがまず重要になります。
2つ目に、社員の関心は自分の給与であると理解したうえで制度の説明をする、です。
経営側からすると、中身を見てほしいという思いがありますが、発表会ではじめて制度について聞いた社員が気になるのはまず「結局、自分の給料は上がるのか?下がるのか?そしてこれからどうなるのか?」という点です。
まずは、その部分をしっかりと説明し、仕組みの理解をしてもらった上で、では給与を上げる・キャリアアップをするためには中身を見て、何をしていく必要があるのか目標設定していきましょうと伝え、評価の運用に進んでいくと非常にスムーズに進めることができます
この2点を踏まえて、ガイドブックを通じた制度の説明を行い、制度の正確な理解を促しましょう。
一点、注意点としては一度の説明で全てを理解してもらえたと思わないようにすることです。
あくまで、発表会は導入であり、実際の運用をしながら制度について理解をしてもらえるよう根気強く話していかなければならないと考えておくことが必要です。
ですので、最初の発表会は全社員に対して行い、そのあとは、部署別、役職・階層別など対象を分けて実施すると効果的です。
④まとめと質疑応答・アンケートの集計
最後に、まとめとして、改めて目的の説明とメリットを訴求し、不安感を拭います。
繰り返しにはなりますが、制度自体に触れることが初めての人は、1日では全てを理解し切るのがどうしても難しいです。
ですので、発表会では目的の理解、不安の払拭・モチベーションアップ、そして制度についての最低限の理解を行えればよしと考え、最後のまとめでも同じ内容を繰り返すことが好ましいです。
続いて、質疑応答と理解度チェックを目的としてはアンケートを集計しましょう。
よく、質疑応答をそのまま行う会社様がありますが、人事評価制度の性質上、その場では答えづらいことや質問をしづらいことがあります。
どのような形でもよいので、理解ができたかどうかというのを5段階で聞くアンケートと、質問を集計するものを用意し、回答は後日とするのが対応としては安心です。
そして、質問の種類によって、全体向けに回答するものと個別で回答するものを決め、実際に回答していきます。
まとめ
いかがだったでしょうか?
人事評価制度発表会では、ただ制度の説明を淡々とするのではなく、ポイントを押さえて準備や解説をしていく必要があります。
ぜひ、今回のコラムを参考にしていただけますと幸いです。
また、船井総合研究所では発表会などを含めた制度の構築や修正、運用をコンサルティングしております。
まずは話だけでも聞いてほしい、相談をしてみたいという方は、こちらからご相談ください。
それでは、最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。